元ロッテの里崎智也氏(野球評論家)の「ウェブ特別評論」を掲載中。44回目は「プロ野球助っ人通信簿~パ・リーグ編~」です。


   ◇   ◇   ◇


 プロ野球開幕からまもなく前半戦折り返しが見えてきた。60試合超を消化し、勝敗のカギを握る各球団の外国人選手に注目した。12球団の外国人選手を投手部門、野手部門に分けて勝利への貢献度を4段階評価してみた(成績は交流戦終了時点の6月20日現在)。


※花丸=文句なし、◎=すばらしい、○=良い、△=もう少し、×=さらなる奮起を


◇パ・リーグ


【1位 楽天の助っ人=投手◎、野手◎】


投手はハーマンが中継ぎで25試合に登板し1勝1セーブ16ホールド、防御率2・28の素晴らしい成績。守護神松井裕へつなぐ「勝利の方程式」を構成し、チームの首位に大きく貢献している。シーズン途中、BC富山から速球派のコラレスを獲得したが、こちらはまだ未知数。投手総合は◎。


 野手はペゲーロ、ウィーラー、アマダー(現在2軍調整中)がそれぞれバットで存在感を示し、チームの快進撃を支えている。ペゲーロは打率こそ2割6分8厘だが、15本塁打はリーグ4位タイ、48打点も同4位タイと得点機での勝負強さが印象深い。17日の阪神戦では今季2本目の満塁弾を放った。満塁では5打数4安打、12打点、2本塁打とすさまじい集中力を発揮している。交流戦では打率2割3分5厘、4本塁打と苦戦したようだが、恐怖の2番打者に変わりはない。ウィーラーは交流戦で打率3割5分2厘16打点、5本塁打と調子を上げた。開幕からの通算も打率2割8分、35打点、13本塁打とまずまず。アマダーは開幕から2割1分7厘、22打点、7本塁打。疲れが見えたため12日に選手登録を抹消されたが、昨年は8月に8本塁打と夏男ぶりを発揮している。メキシカンリーグMVPに輝いた経験もある男だけに夏に向けて期待したい。野手総合では◎。


【2位 ソフトバンクの助っ人=投手花丸、野手◎】


 野手はデスパイネが開幕から打率2割7分6厘、18本塁打(リーグ1位)53打点(同2位)と数字的には評価。12日に肉離れで選手登録を抹消され心配したが本人はすでにフリー打撃を開始し23日の西武戦から復帰意欲を見せており明るい材料。ここまでの評価は◎。


 投手陣はバンデンハークが11試合に登板し7勝3敗、防御率3・18。交流戦期間はトップタイの3勝無敗、防御率2・84と好成績を残した。守護神サファテも26試合登板し20セーブ(リーグ2位)防御率1・05は文句なし。チームは3年連続の交流戦最高勝率を果たしたが、2投手の貢献度は高かった。交流戦終盤に育成から支配下登録されたモイネロは1軍登板なしも2017年のWBCキューバ代表。リーグ戦再開後、リリーフ左腕として期待される。昨年中継ぎで活躍したスアレスはWBCで負傷しリハビリ中。投手総合は花丸。


【3位 西武の助っ人=投手花丸、野手◎】


 投手陣は先発ウルフが11試合で6勝1敗、防御率2・31。日本ハム、ソフトバンクと渡り歩き日本の野球にも慣れており、上々の滑り出し。中継ぎシュリッターは31試合登板で0勝1敗18ホールド、防御率1・15は素晴らしい。ガルセスは13試合で2勝2敗、防御率5・06でもうひと踏ん張りだが、ウルフ、シュリッターの活躍が抜けており投手総合は花丸


 野手はメヒアが打率2割7分9厘、12本塁打、38打点で開幕からまずまずの働き。交流戦でも打率3割6厘、6本塁打(同期間3位タイ)、15打点の成績を残し、チームの交流戦3位(10勝7敗1分け)に貢献した。評価◎




【4位 オリックスの助っ人=投手△、野手◎】


 投手陣はディクソンが、11試合に登板し5勝5敗、防御率3・27と踏ん張っている。ほかにコーク、ウエスト、ヘルメンの3投手がいるが目立った活躍はなく寂しい。投手総合△。


 野手陣はモレルが33試合に出場し打率2割8分1厘、1本塁打、10打点。4月は打率1割台と出遅れたが5月、6月は打率3割超の活躍を見せておりまずまず。大砲ロメロは33試合に出場し打率2割7分、11本塁打、29打点といい働きをしている。4月末にけがで1カ月離脱しチームも順位を下げた。交流戦で復帰し6本塁打は同期間3位タイ。9日のデビュー戦でホームを踏み忘れ幻弾となったマレーロは9試合で打率2割5分、2本塁打、4打点。まだ試合数が少ないが爆発力もあり面白い存在だ。野手は総合◎。


【5位 日本ハムの助っ人=投手○、野手◎】


 投手陣は先発メンドーサがここまで12試合で2勝5敗、防御率3・84と期待値の高さからすればもう一息か。エスコバーは11試合で1勝2敗、防御率5・59と微妙なところ。右肘の張りで4月に離脱したマーティンだが、5月上旬に再登録された。ここまで15試合で0勝1敗1セーブ10ホールド、防御率1・98と昨年守護神も務めた右腕だけに万全なら計算できる存在だ。15日の中日戦で右脇腹を痛めてマーティンは途中降板しており、けがが気がかり。投手全体では○。


 野手は昨年の本塁打王レアードが4月は打率1割台と苦しんだが、5月に打率3割超をマークし徐々に上向き傾向。開幕から打率2割5分2厘、16本塁打(リーグ2位タイ)51打点(同3位)と打率の低さはいつものことで本塁打、打点で実力を発揮。評価◎。


【6位 ロッテの助っ人=投手×、野手×】


 投手陣はスタンリッジは7試合で1勝3敗、防御率5・67だが、不振で5月中旬に2軍落ち。チェンは8試合で1勝3敗、防御率3・78。奮起を期待して総合×。


 野手陣はオープン戦で活躍したパラデス、ダフィーに期待したがシーズン入って不発。パラデスは打率2割5厘、5本塁打、9打点。ダフィーは打率2割1厘、6本塁打、18打点といまひとつ。緊急補強したサントスが交流戦17試合で打率3割3分9厘(9位)と好調。大砲補強したペーニャと合わせてリーグ戦再開後、巻き返しの核となれるかに注目。野手総合は×。


 ◆里崎智也(さとざき・ともや)1976年(昭51)5月20日、徳島県生まれ。鳴門工(現鳴門渦潮)-帝京大を経て98年にロッテを逆指名しドラフト2位で入団。06年第1回WBCでは優勝した王ジャパンの正捕手として活躍。08年北京五輪出場。06、07年ベストナインとゴールデングラブ賞。オールスター出場7度。05、09年盗塁阻止率リーグ1位。2014年のシーズン限りで引退。実働15年で通算1089試合、3476打数890安打(打率2割5分6厘)、108本塁打、458打点。現役時代は175センチ、94キロ。右投げ右打ち。