前回、阪神とオリックス間の人的補償の話を書いたので、成り行き上、続きを少しだけ、おつき合い願います。

 ヤジ馬根性で「大山鳴動してネズミ1匹」とばかり、金銭だけで終わるのはおもしろくないと書きましたがオリックスはやはり選手を要求してきました。

 ご存じのとおり、標的となったのは4年目を終えた金田です。彼が大院大から阪神に指名された12年のドラフトの際に、たまたま取材に行っていたこともあって「おっ! 金田か!」と思ってしまいました。

 と書きましたが、正直、予想の範囲内でした。記者仲間で勝手に「プロテクト予想」をしている中で、金田が外れている可能性はあると思っていました。

 個人的にあるかもな~と思っていたのはわが母校・関大の後輩である岩田でした。左腕不足のオリックスだけに今季は不振だったとはいえ、状態さえよければ先発の仕事を任すことのできる人材です。

 後日、オリックス関係者と少し話したところ、やはり「若さ」ということも大きな要素だったようで、熟慮の結果、金田に落ち着いたようです。

 金田に関しては鹿児島出身で素朴とした様子で、ほほ笑ましい印象ですが、以前に雑談していたとき、何かの拍子に「そりゃ悔しいですよ!」と語気を強める表情を見て、うちに秘める闘志を感じたことがとても印象的です。

 今回のFAでオリックスは阪神から金田に加え、1億円程度の金銭的補償も受け取ります。「高額年俸のベテラン野手」と「若手投手プラス金銭」の交換というのは、トレードとしても十分、あり得ること。他の候補者もいる中でオリックスに選ばれた金田は胸を張って移籍すればいいと思います。

 突然ですが、懇意にしている大学の先生が調べたところ、「プロ野球で4勝をマークすれば、プロに入った投手全体の上位25%に入る」というデータがあるそう。

 逆にいえばドラフト指名され、意気揚々と入団しても1勝どころか1軍に上がれず終わる選手も、それこそ、数多くいるということです。

 金田は入団後の4シーズンですでに7勝を挙げており、今後、一流投手になる可能性は残されているはず。FAの人的補償という、印象的な移籍を糧に奮起を期待したいと思います。