39年前の1985年(昭60)、阪神の日本一を勢いづけた「バックスクリーン3連発」勝利と同じ「4・17」に同じ巨人に勝利だ。

3連発はなかったが3連打は出たのである。しかも阪神打線が放った安打は3回に出た、その3安打だけ。はっきり言わせてもらって、スケールは当時に比べてなかなか小さいけれど、結構、面白かった。

焦点はその3安打目である。森下翔太が放った中越え二塁打。巨人の中堅・佐々木俊輔はいったん前進。しかし伸びる打球に下がろうとして一瞬、滑ったように体勢を崩した。そしてグラブは届かず頭上を越えたのである。これで一、二塁にいた2走者がかえり、2点。結局、両軍がマークした得点はこれだけだ。

そこで思う。あのプレーに前夜の雨は影響したのか、ということだ。関西在住の読者は実感できると思うけれど、16日夜は激しい雷雨だった。甲子園の同カードも延長10回に入るところでコールド、引き分けとなっている。

その後も夜中にかけてのかなり長い時間、降っていた。この日の甲子園はどうなのか。試合前からそうチラリと思っていた。しかし言うまでもない水はけのいいグラウンドに「神整備」の異名を取る阪神園芸の仕事だ。おかしな動きはないだろうと思っていたので少しドキッとしたのである。

結果から言えば雨の影響はなかった様子だ。「前夜の雨がプレーに影響するような芝の状況ではなかったと思います。特に最近は芝にも手を入れており、水はけもよくなっていますから」。阪神園芸・金沢健児はそう断言した。

これを裏付けたのは阪神外野守備走塁コーチの筒井壮だ。「いまの甲子園の芝は滑るというより、グリップがよく、どちらかと言えば引っかかるときがあるかも。でもきょうの状態は、そういうのは何もなかったと思いますけれど」。

佐々木本人は巨人担当にこんな話をしていた。「前に出て、2。3歩下がろうかなっていうときに切り返しで足滑らせたので。言い訳にならない」。自身がバランスを崩したプレーを潔く振り返ったのだ。

ここは外野手を惑わせるほど伸びる強い打球を放った森下を褒めるべきだろう。この日はあと1本が出ず、無得点だったけれど巨人にも勢いは感じる。さあ、3戦目。投手戦でも乱打戦でも甲子園で燃える「伝統の一戦」が見たい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

阪神対巨人 3回裏阪神2死一、二塁、佐々木は森下の打球を追うが先制2点適時二塁打となる(撮影・上田博志)
阪神対巨人 3回裏阪神2死一、二塁、佐々木は森下の打球を追うが先制2点適時二塁打となる(撮影・上田博志)