「大ちゃんフィーバー」以来となる、「清宮フィーバー」の幕開けだ。第97回全国高校野球選手権東西東京大会(7月4日開会式)の組み合わせ抽選会が20日、都内で行われた。西東京大会では、ラグビー・ヤマハ発動機の清宮克幸監督(47)の長男で、「和製ベーブ・ルース」の異名を取る「清宮ジュニア」、早実・清宮幸太郎内野手(1年)のために、異例の報道対応が行われる。報道陣に記名を求める「清宮ゲート」が誕生し、球場振り分けも優先的にメーン会場を使用する見通し。

 清宮のための、異例の通達だった。主催する朝日新聞社が、東京都高野連と協議した上で「早実の試合での報道対応について」という書面を報道陣に配布した。「清宮幸太郎選手の動向に対して注目が大いに集まっております」と個人名を挙げ、早実の試合日に限り特別な報道対応を行う方針を示した。同高野連の武井専務理事は「ここ30年ちょっとは(特別対応は)やっていない。荒木以来だと思う」と話し、早実OBの荒木大輔氏以来となる「清宮フィーバー」に備える。

 今春の東京大会準々決勝・関東第一戦で推定130メートルの高校1号を放ち、その後も練習試合で通算12本塁打まで増やすなど、注目は高まる一方。取材ラッシュが予想されるため、早実の試合会場は報道関係者受付を設置し「特別取材パス」を発行する。今春は約40人の報道陣が押し寄せ、社名や人数を把握できなかった。今大会は一、三塁側スタンドに観客席と区別したカメラスペースを設置。試合後には清宮への個別の取材時間を設ける。

 球場の振り分けも「清宮シフト」になりそうだ。関東第一戦では神宮第2に5500人が詰めかけた。今大会は9会場で行われるが、神宮球場の使用は準々決勝以降。武井専務理事は「荒木の時より観客の数は圧倒的に多い。国体をやった球場だし、事故防止の観点からも八王子になると思う」と、メーンの八王子市民球場を優先的に割り当てる考えを示した。外野席を開放すれば約1万2000人が収容可能だが、それでも超満員になりそうだ。

 「ハンカチ王子」こと日本ハム斎藤も「フィーバー」が起きたのは甲子園後。地方大会では特別な対応はなかった。スーパー1年生・清宮は、早くも主催者側を動かした。【鹿野雄太】

 ◆大ちゃんフィーバー 早実時代の荒木大輔氏(51=元横浜)は、1年夏から5季連続甲子園に出場し、大フィーバーを巻き起こした。1年夏の甲子園は5試合4完封で準優勝に貢献。甘いマスクで女子高生を中心に絶大な人気を誇り、卒業時に一括で受け取ったファンレターは段ボール30箱以上。「大輔」は名前ランキング1位になり、ソフトバンク松坂も荒木氏が名前の由来になった。ヤクルト入団後はファンとの接触を減らすため、クラブハウスと球場をつなぐ地下道「荒木トンネル」が誕生した。