能代が前年度優勝の角館を下し、昨夏3回戦で敗れた雪辱を果たした。2点を追う4回裏、4連打で3点を挙げて逆転した。

 能代が、今大会初のシード校撃破で波に乗った。両校とも全校応援の白熱した戦い。初戦の由利戦に続く地元での勝利に、牧野嘉訓監督(45)は「背中を押してくれた。地元から勝ち上がっていく」と超満員の応援席にガッツポーズで応えた。

 随所で2年生が活躍し、昨夏王者を攻略した。初回に3点を失ったが、ひるまなかった。その裏、3番若狭竜生(2年)の右中間二塁打で1点を返し、追撃モードに入った。4回には若狭の中前打を口火に4連打。1死一、二塁から5番小林敬介(2年)の左中間三塁打で同点とし、続く杉渕英佑(2年)の左前打で勝ち越した。小林は「打った球は覚えていませんが、リベンジできてよかった」と初球打ちに笑顔。決勝打の杉渕も「(小林は)チャンスでつないでくれる。いいライバルで、刺激し合ってます」と信頼を寄せた。

 チームは今春から、サンドバッグを用具倉庫につるしてインパクトを強くする“打ち込み”を続けてきた。杉渕は「タイヤのように跳ね返ってこないので押し込む力が必要」。小林は「バット自体が軽く感じるようになった」と打球の速さと飛距離アップを実感している。

 能代ナインは92年以来、23年ぶり5度目の甲子園を狙う。この夏、戦国模様の秋田大会では、シード校撃破は決して下克上ではない。確固たる伝統を背負う選手たちは「一丸頂点」のチームスローガンのもと、一気に全国ロードを駆け上がる。【佐々木雄高】