早実の怪物スラッガー・清宮幸太郎内野手(1年)が、5季連続甲子園への道を閉ざされた。東京NO・1左腕の呼び声高い二松学舎大付・大江竜聖投手(2年)から先制打を含む2安打を放ちながら、チームは延長10回サヨナラ負け。来春のセンバツ出場は絶望的となった。4月9日に高校入学後初めて公式戦に出場した球場で、1年生としての戦いが終わった。

 清宮の目に、涙はなかった。二松学舎大付の最速144キロ左腕・大江から2安打もサヨナラ負け。来春のセンバツ出場が絶望的となっても「(甲子園に)5回出ることは1つの目標だった。遠のいたとは言っても、ここで終わりじゃない」。悔しさをにじませながら、前を向いた。

 今春センバツの松山東(愛媛)戦で16三振を奪った大江に対して、清宮だけが互角以上に戦った。「(大江が)足を上げてからのタイミングが取りにくかった。自分の調子も良くなくて、体が少し一塁側に流れてしまうのを修正できなかった」と崩されかけても、4回に外角スライダーに食らいついてチーム初安打となる右中間二塁打。6回には中前に先制適時打を放ち、超満員4000人の観客を沸かせた。試合後、大江から「いいバッティングだね」と声をかけられたが「いやいや、そんなことないです。まだまだ練習が足りない。ひと冬越えて、チームも自分も成長したい」と雪辱を誓った。

 2015年、スーパー1年生は多くの衝撃を与えた。甲子園での2発など、早くも高校通算22本塁打。公式戦だけで7本のアーチをかけ、日本の高校生相手には公式戦全18試合(国体除く)でヒットを放った。和泉実監督(54)が「修正能力が高く、読みも鋭い」と言うように、第1打席の15打数5安打に対して、第2打席は14打数10安打4本塁打と打ちまくった。

 高校日本代表の4番は、1年生としての戦いを終えた。「春から試合に出させてもらって、中学から比べものにならないくらい成長した。(早実の)上級生や、代表の先輩方がいたから成長できた」と感謝した。今後について、和泉監督は「一塁以外の守備位置をやることは今後のプラスになる。『清宮を抑えれば大丈夫』と言われないチームにするために、打順も含めていろいろ考えたい」と言った。かつて誰も味わったことのない経験を1年生から積んだ清宮は、長い冬を越えてさらなる進化を遂げるに違いない。【鹿野雄太】