日本文理(新潟1位)は佐久長聖(長野2位)に延長11回、敗れた。狙っていた来春のセンバツ出場は絶望的となった。投手3人をつぎ込むなど、登録18人のうち17人を投入する総力戦になったが、及ばなかった。打線は9安打を放ったものの、6回1死満塁の場面で無得点に終わるなど「あと1本」が出なかった。

 試合後のあいさつから引き揚げてくる日本文理の選手たちは、悔しさをのみ込んで無表情を貫いていた。前日11日は5-4で迎えた7回表2死一塁の攻撃中、雨によるグラウンドコンディション不良のためノーゲーム。仕切り直しとなったこの日は延長11回、2時間38分に及ぶ試合で負けた。「1点しか取れないのは情けない。4、5点は取らなきゃ。遠慮しちゃったんじゃない?」と大井道夫監督(74)がぼやく展開になった。

 何度も訪れたチャンスをつぶした。0-0で迎えた3回裏には先頭の笠原遥也(1年)が右前安打で出塁。続く斉藤輝一(2年)の右中間二塁打で、本塁を突いたものの得点に結びつかなかった。6回裏は1死からは3番荒木陵太(2年)4番川村啓真(1年)が連続安打。5番捧颯人(2年)が四球を選んで1死満塁としたが、三振と右飛でホームはあまりにも遠かった。この日、三塁打を含む4安打で、打撃が看板の日本文理を象徴する活躍を見せた荒木は「チャンスに1本が出なかったことが大きい。1点の重みを感じた」と話した。

 投手陣は先発のエース藤塚光二郎(2年)ほか3人をつぎ込み2失点。打線優位のチームカラーを覆すような奮闘を見せた。「投手陣はダメだ、ダメだと言われてきたから、2人の稲垣(豪人=1年、優斗=2年)と頑張っていこう、と話していた」と言う藤塚は「来春には新しい姿を見せたい」と言った。

 来春のセンバツへの扉は閉ざされた。大井監督は「もう1回、野手を含めて再編成したい」とゼロから再スタートする構えを見せた。現2年生にとっては、来夏しか甲子園への道はない。「力不足。技術も足りない。甲子園に行くために、体作りから頑張りたい」。そう話した渋谷唯人主将(2年)の視線は、決意に満ちていた。【涌井幹雄】