静岡県勢で戦後初となる3年連続の夏の甲子園出場を目指す静岡に、待望のエースがカムバックした。腰痛で今春の登板を回避した村木文哉投手(3年)が6月中旬に実戦復帰。17日の初戦(誠恵-藤枝明誠の勝者と対戦)に向け、登板回数を増やしながら調子を上げている。春は県3位のチームに頼もしい「1番」が加わり、万全の布陣で夏の頂点に臨む。

 腰痛を乗り越えた村木が静岡のマウンドにいる。春の登板を回避して夏に懸けてきたエース。「今の状態は90%。腰に不安はありません」と話しながら、力みのないフォームからキレのいい直球をテンポよく投げ込む。17日の初戦に向け、順調に調整を進めている。

 2月中旬、左腰に痛みを感じ、3月から別メニュー調整を続けた。検査では疲労性の腰痛と診断。栗林俊輔監督(43)と相談の上で「投げたい気持ちはありましたが、最終目標は夏なので」と治療に専念。体幹トレーニングや、ゴムチューブを使った低負荷のメニューで下半身を強化した。もともと上半身のパワーが強かったため、下半身とのバランスも改善された。

 村木 テークバックでの力みが抜けて、無理のないフォームになりました。右肩の可動域も広がりました。投げられない期間も無駄じゃなかった。

 先月12日には愛工大名電(愛知)との練習試合で約半年ぶりに対外試合に登板した。1回2失点も最速は137キロを記録し「上出来の復帰戦でした」。同18~19日に連投で2回ずつ、同26日に3回、さらには今月3日は桐光学園(神奈川)を相手に復帰後最長となる5回を投げた。直球はキレを増し、変化球の制球も精度を増した。「予定通り、大会にはピッタリ間に合いそうです」と口にした。

 村木 昨年は「絶対王者」と言われたけど、僕らは秋、春と負けている。一戦必勝、挑戦者の気持ちで戦います。

 県勢では戦後初となる3年連続夏の甲子園出場の快挙へ、村木が「静高」をけん引する。【鈴木正章】

 ◆村木文哉(むらき・ふみや)1998年(平10)7月19日、浜松市生まれ。右投げ左打ち。兄の影響で就学前に都田リバースに入団。都田中で全日本少年春季軟式野球に出場。静岡に進学後は1年夏の大会から登板し甲子園でもベンチ入り。同秋からエースとなり2年春、夏に甲子園で登板。184センチ、80キロ。

 ◆静岡県勢の夏の甲子園連続出場 24~27年に静岡(静岡中)が4年連続で出場したが、戦後の3年連続出場は、まだない。48~49年に静岡(静岡一・静岡城内)、53~54年に静岡商、55~56年に静岡、57~58年に清水東、68~69年に静岡商、07~08年に常葉学園菊川、09~10年に常葉学園橘、14~15年に静岡が、2年連続で出場している。