中部では静岡が3-1で藤枝明誠を下し、5連覇を達成した。今夏2回戦と同一カードの一戦で先発左腕の池谷蒼大(2年)が7安打1失点の完投勝利。準々決勝から背番号「1」をつける新エースが躍動した。

 池谷が新エースの存在感を見せつけた。2回までに3安打を浴びながらも無失点でしのいだ。だが、直球が狙われていることを察し、「変化球重視に切り替えて」相手の裏をかいた。3回1死一塁で唯一の長打を浴びて1点を失ったが、4回以降もカットボールがさえ、的を絞らせなかった。「変化球が低めに決まっていた。接戦を勝てたことは自分にとっても自信になった」。

 今大会は3回戦まで背番号「10」だったが、エース竹内奎人(2年)の調子が上がらず、準々決勝から池谷が、初めて「1」をつけることになった。「新エース」として登板した準々決勝の島田樟誠戦では公式戦初完封。栗林俊輔監督(42)の「強い気持ちを持ってほしい」との期待に応える活躍で、この日も「責任感を持って」投げ抜いた。

 1年の時は疲労性の腰痛でほぼ投球練習ができず、今春から本格的に投げ始めた。現段階で直球は最速144キロ。制球など課題はあるが、栗林監督の期待は大きい。高校日本代表としてU18アジア選手権でプレーした鈴木将平前主将(3年)や昨年、同代表にメンバー入りした堀内謙伍捕手(19=楽天)の例を挙げ「一冬を越えれば、(池谷も)日本を代表するような選手になれる。これから楽しみですね」と話した。

 チームは中部地区5連覇を達成。来春のセンバツ出場につながる県大会、東海大会に弾みをつけた。池谷は「全部優勝して甲子園に行きたいです」と言い切った。15年夏以来の聖地へ。名門にいいムードが流れてきた。【神谷亮磨】