日本文理が3本の本塁打をさく裂させて巻総合に10-0で6回コールド勝ちした。1回無死一、二塁で川村啓真右翼手(3年)が右翼への3ラン本塁打。3-0の3回1死には松木一真左翼手(3年)がソロ本塁打でダメを押し、6-0の無死満塁には6回から守備についた岩沢嵩斗遊撃手(3年)が左翼への満塁本塁打で勝負を決めた。

 日本文理の派手な本塁打劇に3選手が共演した。鋭い球音を響かせて、本塁打ショーの幕を開けたのは、3番・川村だった。1回無死一、二塁の場面で右翼芝生席に3ラン本塁打を放り込んだ。打った球はカウント3-2から真ん中に入ってきたスライダー。「甘い球を1球で仕留める力はまだ、ない」と豪快打線をけん引する3番打者は、自分に厳しかった。

 大井道夫監督(75)は「あんな打撃を毎試合やってくれれば、監督は言うことがない」と3本塁打を評した。その第2幕は、3回1死に松木が放った右中間ソロ本塁打だ。初戦の新発田農戦(10-7、4月30日)は途中から一塁の守備につき、4-7の7回無死満塁に走者一掃の同点右越え三塁打。勝利の立役者の1人だ。「監督に打撃を期待されてベンチに入っている」という背番号17は、先発のこの日も打撃で応えた。

 初戦の新発田農戦は12安打を放ったが、大井監督は「先が思いやられる」と試合直後のメンバーに練習を厳命した。学校に直行して打撃練習と守備練習を繰り広げた。フリー打撃は3カ所のケージで約1時間半。そんな練習が実を結び、岩沢が満塁本塁打で締めくくった。

 岩沢は公式戦初のメンバー入り。6回から守備につき、その裏に巡ってきた無死満塁の公式戦初打席で爆発した。「チームメートから思い切り振れ、と言われた」と、1ボールからの最初のひと振りが満塁弾になった。大井監督は「(上に行けば)出場機会がなくなるから」と野手を3人途中出場させたが、日本文理打線は控え選手も破壊力を持ち合わせていた。【涌井幹雄】