第82回選抜高校野球大会(3月21日開幕、甲子園球場)の選考委員会が29日、大阪市内であり、出場32校が決まった。創部46年目の自由ケ丘(福岡)は創部当時の監督・福原弘之理事長(68)の下、柳川で過去5度甲子園に出場した末次秀樹監督(51)の就任4年目での大願成就となった。組み合わせ抽選は3月13日に行われる。

 歴代部員の汗が40年以上も染み込んだ自由ケ丘のグラウンドで、就任4年目の末次監督が宙に舞った。初の甲子園出場に喜ぶナインに胴上げされ、7度も舞った。「今回はもうドキドキでしたよ」。選手、コーチ、監督として20年以上も在籍した強豪・柳川を、5度も甲子園に導いた名将が、緊張していた。

 福原理事長とがっちり握手を交わして、しみじみと話し出した。「創部当時、ここは山の谷底だったらしいです。それを当時監督だった現理事長がグラウンド整備したのが最初だった。その思いがやっと通じたんですよ」。5年前に選手の不祥事などで柳川の監督を退任。約1年の「浪人」を経て、06年9月に自由ケ丘の監督になった。声をかけてくれた福原理事長の思いにも応えたかった。モットーの「対話重視」の指導に「野球を楽しんでいる」選手の自主性に任せたチーム作りで、昨秋の九州大会4強を勝ち取った。主将の中村圭太捕手(2年)も「有名な監督さんのもとでやりたかった。野球以外でも教えてもらえることが多かった」と末次監督の存在の大きさを口にした。

 旧校名は「九共大八幡西」。グラウンドの隣はソフトバンク馬原、新垣、田上らを輩出した九共大野球部グラウンドもある。充実したウエートトレーニング室を共有するなど、両者の交流は盛ん。末次監督も「大きな大会前は大学のグラウンドも使わせてもらっているし、大学生に打撃投手をしてもらうこともある。最高の環境と思います」と話す。プロを生んだ施設で鍛えたナインが、大舞台に挑む。

 「ボクも自由ケ丘に来て成長したいと思っていますから」。柳川監督として出場した05年夏以来。末次監督が、初出場ナインとともに、懐かしの聖地にがい旋する。【浦田由紀夫】