<センバツ高校野球:甲子園練習>◇17日◇甲子園

 「世界のイチロー」を背負って聖地に乗り込んだ。第84回選抜高校野球大会(21日開幕、甲子園)に出場するチームの甲子園練習が17日、始まった。雨天で三塁側室内での練習となったが、大会注目の「ビッグ3」が登場。昨秋明治神宮大会準優勝の愛工大名電(愛知)・浜田達郎(3年)はOBのマリナーズ・イチローが91年にセンバツ出場した際のユニホームを着て登場し、ノーヒッターを宣言した。

 大会NO・1左腕のオーラを放っていた。三塁側室内にミットの音が響く。浜田が捕手を立たせたまま30球の投球を披露。「6割程度の力で、バランスを意識して投げた」と明かしたが、球のキレも伸びも本番間近を思わせるものだった。

 大先輩の汗を力に変えていた。身にまとった背番号1のユニホームは、あのイチローのもの。倉野光生監督(53)の発案で、寮に保管されていた91年センバツ出場時のユニホームを着用。イチローが着用していた当時から洗っておらず、汗もほこりもそのままだ。当時のイチローは180センチ、69キロ。初めて袖を通した183センチ、88キロの左腕は「ちょっときつい」と話したように、一番上のボタンが留まらなかった。それでも「うれしいです。俊足をもらいました」と力をもらい、練習最後に行う1人1人の声出しでは「ヒットを打たせない!

 チームを勝利に導く!」と堂々とノーヒッターを宣言した。

 決して夢物語ではない。昨秋の愛知県大会で、5回コールドによる参考記録を含めれば、無安打無得点試合を2度達成。準決勝・至学館戦など1安打完封を2度記録した。中村雄太朗捕手(3年)は「浜田ならやると思います」と真顔だ。倉野監督も「そのくらい強気の方がいい。いけるところまで浜田でいく」と背中を押した。

 高校生離れした自己管理と大会に合わせた調整能力こそが強みだ。食事、体調に気を使い、不調のときを作らない。中村は「負けるときは自分の配球が悪かったからで、大会で調子の悪い浜田を見たことがない」と明かす。初戦まで走り込みを続けて体重を1キロ落とし、理想の体重87キロまでもっていく。大先輩イチローから力を授かり、タツローが春の主役になる。