<高校野球群馬大会:高崎商2-0桐生商>◇27日◇決勝◇上毛新聞敷島球場

 高崎商が群馬68チームの頂点に立った。1回に2番・富沢好平外野手(3年)と7番・中島脩喬(ひさのぶ)外野手(3年)の適時打で幸先よく2点を先制。投げてはエースの関純(3年)が、桐生商を9回3安打無失点に抑える好投をみせた。6試合すべてに先発し、46イニング投げて、失点はわずか1。チームを22年ぶり11回目の夏の甲子園に導く原動力になった。

 最後の打者を投ゴロに打ち取ると、普段は感情を表に出さない関が、このときばかりは最高の笑顔で両手をあげ跳びはねた。関の元にナインが集まり歓喜の輪が広がった。富岡潤一監督(46)は「選手はよくやってくれた。うれしいの一言です」と22年ぶり11回目の甲子園出場を喜んだ。

 関は今大会絶好調だった。準決勝、決勝と2試合連続完封勝利。「粘りの投球で、みんなが守ってくれるので思い切って投げた」とチームメートをたたえた。左腕から最速139キロの速球とスライダー、カーブ、チェンジアップを投げ分ける。準決勝では強気に攻めて10奪三振。決勝では打たせて取る投球で桐生商打線を手玉に取った。

 悔しさを糧にしてきた。昨夏の決勝、高崎健康福祉大高崎戦に2番手として登板。8つの四球を出すなど大乱調で、5回1/3を投げて3点を失い、甲子園には届かなかった。「自分のせいで…。先輩に申し訳ない」。球には力があるものの、制球力が伴わないと甲子園には行けない。もともと指摘されていたインステップする癖を修正するため、地面に線をひいてピッチングを行った。リリースポイントにもこれまで以上に神経を使うようになった。

 今大会前には昨年の決勝戦の録画をみて、あらためてあの時の悔しさを心に刻み込んだ。「2度同じことは繰り返せない」。1年をへて、制球力は格段に上がった。今大会はすべてセットポジションから投げ、6試合46イニングで与えた四死球は8。1試合平均2個以下と、安定感抜群だった。

 ランナーを出しても点は与えない投球で、失点もわずかに1。富岡監督は「関は粘り強く、よく投げてくれた」とエースに称賛の言葉を贈った。関が言う。「昨年のリベンジが出来て良かった。仲間がいたからここまでこれた」。甲子園でも粘りの投球で校歌を歌う。それが関の目標だ。【細江純平】

 ◆関純(せき・あつし)1994年(平6)12月26日、群馬・高崎生まれ。小1から倉渕ファイターズで野球を始める。倉渕中時代は富岡ボーイズに所属。最高成績は県大会準優勝。家族は両親、兄2人。177センチ、70キロ。左投げ左打ち。

 ◆高崎商

 1902年(明35)に創立の公立校。野球部は21年に創部で、部員数は91人。全校生徒961人(女子481人)。甲子園は春3度。夏は11度目。主なOBは飯田正男(元阪神)、競泳男子200メートル自由形で北京五輪に出場した内田翔、女子バレーボール代表でソウル五輪に出場した川瀬ゆかり。所在地は群馬県高崎市東貝沢町3の4。立見賢治校長。◆Vへの足跡◆2回戦7-0富岡実3回戦10-0藤岡北4回戦2-0館林商工準々決勝2-1伊勢崎清明準決勝1-0桐生南決勝2-0桐生商