<高校野球練習試合:桐光学園7-7千葉経大付>◇6日◇桐光学園グラウンド

 今秋ドラフトの目玉、桐光学園(神奈川)松井裕樹投手(3年)が、川崎市内の同校グラウンドで千葉経大付(千葉)との練習試合に7回からリリーフ登板。3回を2安打4奪三振ながら、19イニングぶり失点を許した。きょう7日に開幕する神奈川大会前の最終登板で課題が出たが、野呂雅之監督(52)は前向きにとらえた。

 1点を失うと、松井はホームベース付近でグラブを腰にあて、空を見上げながら唇をかみしめた。マウンドに上がった7、8回は完璧に相手打線を抑えたが、9回は別人のような投球だった。先頭打者を三振に取るも、続く打者はストレートの四球。その後2つの暴投でピンチを広げた。1死一、三塁から、千葉経大付の4番苅込拓人内野手(3年)に真ん中に入ったチェンジアップを左翼線に運ばれ、適時二塁打で1点を失った。

 失点は19イニングぶりだった。6月23日に行われた関東第一(東東京)との練習試合で8回に失点後、報徳学園(兵庫)を6回無失点、今春センバツ優勝の浦和学院(埼玉)を9回無失点と完璧な投球を見せた。それだけに大会前最後の練習試合は、やや不安の残る内容となった。

 野呂監督は「意味のある投球だった」と言う。「失点をするときはいつも同じパターン。報徳学園、浦和学院での投球内容が良すぎた。人間だから悪い時だってある。大会前に悪い癖が出て良かった」と、前向きにとらえた。

 松井にとって試合内容とは別に、もう1つ手応えを感じた。夏の大会に使用するグラブだ。これまで使っていた赤色のグラブを関東第一戦から茶色に変更した。この日、投ゴロ、投飛も違和感なくさばいた。グラブの中には1~3年生まで投手全員の名前の頭文字が刺しゅうされている。「全員の思いを込めて」という理由がある。

 試合前には選手、スタッフ全員で同校近くにある栗木神社で必勝祈願をした。全員で「全国制覇」と誓った。桐光学園の初戦は14日、中央農と相洋の勝者と対戦。練習試合最終戦で課題が出たが、ビビることはない。松井の長い夏はこれから始まる。【細江純平】