<高校野球神奈川大会:慶応12-0横浜栄>◇18日◇3回戦◇大和引地台

 伝統校の3番に入る1年生のバットがいきなり火を噴いた。慶応・柳町達(やなぎまち・たつる)三塁手だ。無死一、三塁で出番がきた1回、中堅左に二塁打して先制点をもたらした。「相手は緩いカーブが多いというデータがあったんでその球を振り抜きました。調べてくれた3年生に感謝です」。

 慶応の1年生クリーンアップは谷田成吾外野手(慶大2年)以来という。上田誠監督(55)は「3番に入っても、ものおじしない。教えていないのに、次の塁を狙うこともできる。上下関係のない学校なんで、いい雰囲気でやってます」。5回無死二塁で中前打した際には送球間に二塁を奪った。柳町は「だれも塁にいなかったんで」。50メートル走6秒2の俊足が生きた。

 主将で1番の小原徳仁二塁手(3年)が取手シニアの先輩になる。柳町は「あこがれの人です」といい、慕って慶応進学を決めていた。シニア時代には日本一に輝いた経験を持つ。

 「高校でも日本一をとりたい。狙い球を絞って振り抜いて行きたい」。100人を超える部員の中から飛び出た1年生が期待通りの活躍を見せて、4回戦進出を決めた。【米谷輝昭】

 ◆柳町達(やなぎまち・たつる)1997年(平9)4月20日生まれ。茨城県稲敷市出身。3歳上の兄をまねて小学1年で野球を始める。新利根中時代は取手シニアに属し三塁手として2年春に全国優勝。3年夏は投手兼外野手で準優勝。遠投100メートル、50メートル走6・2秒。家族は両親と兄、妹。178センチ、68キロ。右投げ左打ち。