<高校野球和歌山大会:日高4-1粉河>◇11日◇1回戦◇紀三井寺

 和歌山に坂本龍一がいた!!

 和歌山大会が11日、開幕した。開幕戦で日高が粉河に快勝。前日10日、中咽頭がんを告白した音楽家坂本龍一(62)と同姓同名の坂本龍一外野手(2年)がダメ押し打となる適時三塁打を放って勝利に貢献した。

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 日高の坂本が3-1の9回2死二塁で、ダメ押しの4点目をたたきだした。坂本は「チャンスだったので。3年生のためにも打ちたかった」。適時三塁打を放ち、積極的な走塁も見せて粉河へ流れを渡さなかった。井口将克監督(42)も「坂本がよく動いていた。秋までは補欠だったけど、今年の春から頑張っている」と目を細めた。

 世界的音楽家の坂本と同姓同名。「お父さんが付けました。でも、お父さんも後から(同姓同名だと)気付いたみたいです。坂本っていう名字を忘れていたのかも」と命名秘話を明かした。

 「世界の坂本」の存在を知ったのは小学4年のとき。ふと、テレビを見ると自分と同じ名前の男性が映っていた。「親に聞いたら『世界的なピアニストだよ』と教えてくれました」。そのときから、坂本にとっても気になる存在となった。「僕は音楽が出来ないので、ユーチューブで調べて『戦場のメリークリスマス』をよく聞いている」。偉大さをかみしめていた。

 前日、音楽家の坂本は中咽頭がんを告白。坂本はこのニュースをテレビで見た。「同じ名前としても早く治して欲しい」と心配する。和歌山の坂本龍一が世界の坂本龍一へ。熱い夏にバットでエールを送る。【小杉舞】

 ◆坂本龍一(さかもと・りゅういち)1997年(平9)9月14日、大阪市生まれ。白崎小1年から「由良ツインズ」で投手として野球を始める。由良中では「和歌山スリーアローズ」に所属し、中堅手。日高では2年春からベンチ入り。好きな球団は広島。好きな選手はオリックス糸井。164センチ、61キロ。左投げ左打ち。