第87回選抜高校野球(3月21日開幕、甲子園)に出場する仙台育英(宮城)が「大旗」に向け、24日、気持ちも新たに再スタートを切った。

 センバツでは「鬼」になる!

 出場校発表から一夜明け、仙台育英のパワーヒッター紀伊海秀外野手(2年)が、ひときわ気合をみなぎらせていた。「昨日は決まってうれしかったけど、今日は引き締まった気持ち」。投手相手のフリー打撃では「ガンッ」と鈍い音を響かせ、室内練習場の天井ネットに届く大きな当たりを何度も打ち込んだ。

 183センチ、88キロの堂々とした体格で長打力はチーム一。昨夏の新チームスタート時は4番に座ったが、秋の地区大会敗者復活戦から6番に降格した。優勝した昨秋の神宮大会では6番左翼で全3戦先発も9打数1安打。周りが好調な中、1人ふるわなかった。紀伊は「大舞台で大きいのを意識してしまった。無理やり打とうとしてボールをちゃんと見られなかった」と振り返る。その分、センバツでは「どんな打順でも一塁ベースにくらいつきたい」と泥臭くチームに貢献するつもりだ。

 憧れの日本ハム中田翔のように「威圧感があって、ピッチャーに怖がられるバッター」が目標。今は「とにかくスイングスピードを上げてパワーアップしたい」と、毎日寮の食事とは別に、自分で炊いた地元山形産の2合の米を一気にたいらげる。この冬、佐々木順一朗監督(55)からもらった助言は「鬼のように振れ」。トレードマークの笑顔に似合わぬ「鬼スイング」を甲子園でみせつける。【高場泉穂】

 ◆紀伊海秀(きい・かいしゅう)1997年(平9)8月15日、山形県新庄市生まれ。沼田小3年から沼田ブルーリトルソルジャーズで野球を始める。6年時には投手として楽天ジュニアチームに選出される。明倫中では新庄リトルシニアに所属。1年時に東北選抜に選ばれ、日台国際大会に出場。2年から外野手に転向。仙台育英では2年秋からベンチ入り。183センチ、88キロ。右投げ右打ち。家族は両親、姉2人。血液型O。