<高校野球愛知大会>◇25日◇5回戦

 中京大中京が桜丘を13-3の6回コールドで下した。NO・1右打者の堂林翔太投手(3年)は「4番右翼手」でスタメン出場し、7球団のスカウトの前で4打数4安打3打点の大活躍だった。

 まるで打ち出の小づちだ。5点リードで迎えた5回、2死一、二塁。高校球界屈指の好打者と呼び声高い、堂林が外角低めのスライダーをすくい上げた。鋭い打球は右中間を破り、2点適時二塁打となった。「自然と体が反応した。柔らかさがここに来て出てきた。今日はどんな球でも打てる気がした」。この日は4打数4安打3打点と活躍。チームを3試合連続コールド勝ちへと導いた。

 打撃爆発の秘密はヘルメットにあった。この日は普段よりも深くかぶり「つば」を1センチ下に向けた。堂林は「これまで高めのボールに手を出していた。これなら高めのボールに目がいかない。今日はしっかりとボールを見極めることが出来た」と得意げに笑った。この試合まで7打数2安打と「らしさ」を欠いていたが、ようやく本領を発揮。修正能力の高さも見せつけた。

 NO・1左腕との対戦を想像すると胸の高鳴りを抑えられない。前日24日には花巻東・菊池雄星投手(3年)が岩手大会決勝で快投する姿をニュースでチェックした。堂林は中学3年の夏に東海選抜のメンバーとして仙台に遠征。東北選抜の菊池と対戦したが、3打数無安打に抑えられた。「あんな速い球を投げられる中学生がいるんだと思った。さすが。予想どおり優勝しましたね。打者として甲子園で対戦したい」。菊池へのリベンジがこの夏のひそかな目標だ。

 この日も7球団10人のスカウトが堂林に熱視線を送った。中日中田スカウト部長は「高校生で右ひじをあれだけうまく使える選手はいない。高校生のレベルじゃない」と絶賛する。堂林は「これからはもっと厳しい試合になると思うが、あと3つ。絶対に勝って甲子園にいきたい」とはっきりと前を見据えた。花巻東・菊池に甲子園の主役を譲るつもりはない。【桝井聡】