<高校野球千葉大会>◇14日◇2回戦

 プロ注目の強肩捕手、習志野の山下斐紹(あやつぐ=3年)が強打ぶりを披露して初戦を突破した。11球団20人を超えるスカウトが見守る中、東京学館船橋戦の初回にいきなり適時二塁打を放った。2死球を受ける厳しい攻めにも負けず、2安打2打点で成長ぶりをアピールした。

 絶え間なく流れる「レッツゴー習志野」を背に、4番山下のバットが爆発した。今夏の初打席は1回裏1死一、二塁の好機で回ってきた。内角低めの直球を引っ張ると打球が右翼線を破り先制の走者を迎え入れた。適時二塁打。山下は「初戦でみんな緊張していたので1本欲しかった」と、主将らしいセリフで初安打を振り返った。

 強烈な一打に、相手投手の攻めも厳しくなる。2、3打席目は死球を受けた。それでも腰が引けることはなかった。6回裏1死三塁では右前に適時打を放ち、国内11球団20人以上のスカウトが熱視線を送る中で、その存在をアピールした。中日の中田宗男スカウト部長は「身体能力が高いからまだまだ伸びる可能性がある。地肩が強く、フットワークがいい」と話した。捕手の二塁送球は、捕球から2秒で合格点といわれる。山下は1秒79の自己記録を持つ。その実力を披露する場面はなかったが、まずは2安打2打点してバットの実力を見せつけた。

 昨春は33年ぶりとなるセンバツに出場した。帽子の裏には「夢舞台・きずな」と書かれている。あれから1年半。主将になってさらに責任感が増した。「昨年は先輩たちに甲子園へ連れて行ってもらった。今年は自分たちが連れて行く番」と話した。2回戦で敗退した銚子商・菊地慎吾主将(3年)からは「お前が、おれらの分まで頑張ってくれ」との連絡が入ってもいた。「次の1勝を目指し、自分たちのプレーをするだけです」。山下はこう話し、足早にバスに乗り込んだ。【峯岸佑樹】