ヤンキースからFAとなっていた松井秀喜外野手(35)のエンゼルス移籍が、決定的となった。1年契約で年俸650万ドル(約5億5250万円)で基本合意した。
客観的な見方をする松井らしい、賢明な選択だった。ヤ軍残留か、移籍か。考えに考えただろう。03年の米移籍後、ヤ軍には恩義も愛着もあった。時間をかければヤ軍に残る手もあったと思う。
だがジーター、ロドリゲスら主力の高齢化が進むヤ軍は来季以降、各選手の休養を兼ねたDH併用の方針で、松井が残留しても「DH固定」さえ用意されていなかった。ここ数年、相次ぐ故障に悩まされた松井にとって、ベンチから試合を見守ることほど、つらいことはない。松井には「必要とされる」ことが絶対に譲れないポイントだった。
今オフはデーモン(ヤ軍FA)バード(レンジャーズFA)ゲレロ(エンゼルスFA)ら外野手兼DH型で、力量的にも松井と同レベルの選手が市場にあふれた。松井と契約できなくても代替選手をすぐに見つけられる。いかに敏腕代理人でも買い手市場には逆らえず、年内決着を決断したのは現実的だった。
エ軍は02年にワールドシリーズを制するなど、世界一を狙える。巨人からヤ軍へFA移籍した際も、「優勝を狙えるところ」が最大の理由だった。個人成績よりも勝利を重視する松井にとっては、ヤ軍を去ってもモチベーションをキープするには、もってこいの球団だった。
守れるスラッガーとして底力を発揮できれば、11年以降、より良い契約を結べる可能性もある。勝負の年となる一方で、ある意味で「まだまだやれる」という松井の自信が、エ軍移籍を決断させた。【メジャー担当・四竈衛】




