<エンゼルス7-2ブルージェイズ>◇14日(日本時間15日)◇エンゼルスタジアム

 【アナハイム(米カリフォルニア州)=大塚仁】エンゼルス松井秀喜外野手(36)が最大の正念場で最高の結果を出した。7番DHで出場したブルージェイズ戦で先制15号2ランを含む今季初の4安打。今季苦手としていた左投手を打ち砕いて快勝に貢献し、首脳陣にもど派手にアピールした。打てなければ出場機会のさらなる減少は確実だっただけに、自らを救う価値ある大暴れとなった。チームも地区首位レンジャーズとの差を7・5ゲームとし、今後に望みをつなげた。

 松井が今季苦しめられたリズムにぴたりと合っていた。2回1死一塁、内角速球を鋭く振り抜いて右翼ポール際に7月26日以来の15号2ランを放り込んだ。4回には高めのスライダーを右翼越え二塁打。6回にも真ん中のチェンジアップをたたいて一、二塁間を破った。左腕セシルを初球、2球目、初球と早いカウントから球種を問わずに打ち砕いた。「あまり結果の出ていない時期が続いていたから良かった」。8回には代わった右腕から中前打。昨年8月13日以来の4安打で復活のサインを見せた。

 ラストチャンスだったかもしれない。今季は左腕との相性が悪く、左腕が先発すれば欠場というケースが前日13日までで4試合続いた。今回のブ軍戦は全3試合で相手先発が左腕だったが、すべて欠場なら前後の休養日を含めて「5連休」になってしまうこともあり、過去の相性がいいセシルが先発するこの日に出場チャンスを得た。ただし打順は今季3度目の7番。結果次第では左を打てないイメージが完全に定着してしまうピンチでもあった。

 左腕先発試合ではリーが先発した7月22日のレンジャーズ戦以来の出場だったが、左腕に「意識はない。いつも一緒」と精神的に身構えるところはない。一方でソーシア監督は、球を引きつけてとらえるタイミングなどの点で「左腕に対することで基本に立ち返れる」という技術的な作用に期待してもいた。「そういうときもありますよね。今日がどうかは分からないですけど」。手応えは半信半疑ながら、好球をバットの芯でことごとく仕留めたスイングは理想的なタイミングを有していた。

 何より喜んだのはこの日64歳の誕生日を迎えたモレノ・オーナーだ。エンゼルスタジアムで松井の大暴れを目の当たりにしたオーナーは「最高の誕生日だ」と歓喜。3月のアリゾナキャンプでは打球で愛車ベンツのフロントガラスを破損したが、今季初の3得点などことごとく点にからむ活躍はお返しの誕生日プレゼントにもなった。

 第4打席で三塁打を打てばサイクル安打達成だったが「みんなに言われたけど、もし外野の間に打ったら、その瞬間に代走出してくれって言ってた」と笑った。左腕相手に欠場が続いたことには「仕方ない。結果がすべての世界だから。(記者も)つまんない原稿書いたら読んでもらえないでしょ?」と独特の表現で語った。何より舌も滑らかになる明るさが戻った。松井もチームもこれまでのビハインドを埋めるにはまだ足りないが、チャンスはあと44試合残っている。