楽天が藪恵壹投手(42)との来季契約を更新しない方針を固めたことが26日、分かった。選手獲得期限いっぱいの7月末にテストを経て入団し、6年ぶりに日本球界復帰を果たした右腕。貴重な中継ぎとして11試合に登板し2ホールドを挙げた。入団会見時に「メジャーでプレーする夢はあきらめていない」と話していたように海外志向は一貫しており、来季編成と藪の意志が合致する形で、契約を満了することになった。

 短い縁だったが、日米通算91勝のベテランは若いチームに財産を残した。入団時、「経験を選手に伝えてほしい」と球団から請われ、藪は守った。練習では真っ先にグラウンドに飛び出し、ダッシュ1本無駄にしなかった。クラブハウスでは自ら選手に溶け込み、丁寧なアドバイスを送った。感銘を受けた投手が多く、Bクラスが確定した後も投手陣の結束は途切れず、逆に強固になっていった。

 シーズン最終盤に左ふくらはぎを痛めたが、回復後すぐ2軍の若手選手に交じり、来季に向けたトレーニングを再開した。最後まで凜(りん)としたまま楽天を去る。貴重な支配下選手登録の1枠が空く。抜けた穴は数字以上に大きいが、星野新監督の下、新たなチームを編成する上で有意義に使われる。