【ロサンゼルス(米カリフォルニア州)9日(日本時間10日)=四竃衛】メジャーが続々と「マー君詣で」に参じた。新ポスティング制度を使ってメジャー移籍を目指す田中将大投手(25)が、メジャー球団と初めて顔を合わせた。複数のメジャー関係者や米メディアによると、少なくともヤンキース、ダイヤモンドバックス、カブスなど6球団が、極秘で田中と面談交渉に臨んだ。カ軍とダ軍はオーナーが直接出馬するなど、各球団が獲得熱意を訴えて、争奪戦が一気にヒートアップした。

 メジャー各球団にとって、第一印象は重要なポイントだった。短期滞在で過密日程の田中に対し、本気度十分の球団は、誠意を見せるために、球団首脳がそろって直接交渉に駆けつけた。

 複数の関係者や米メディアの情報を総合すると、この日までに少なくともヤンキース、ドジャース、ダイヤモンドバックス、カブス、ホワイトソックス、エンゼルスが来訪。超高級住宅地として知られるロサンゼルス近郊のビバリーヒルズ市内の私邸を貸し切り、田中と極秘接触したとみられる。

 今回は田中の滞在期間が短いこともあり、面会時間を1球団あたり約1~2時間に限定。それでも各球団は経営トップが顔を並べ、自軍のチーム状態、施設、生活環境などを説明しながら、猛烈なアピールを行った。現時点で各球団の出馬全陣容は明らかにされておらず、会場では互いの球団がすれ違わないように時間をずらすなど、厳重な情報の管理態勢が敷かれていたという。

 そんな中、これまで伏兵とされていたホ軍は、ウィリアムズ上級副社長、ハーンGMに加え、ベンチュラ監督も同席。同GMは「マサヒロ(田中)と同席して、ホワイトソックスの今後の数年間にとって、いかに彼がフィットするか話し合える機会だった」と、球団を通してコメントした。

 また、田中獲得を今オフの最優先事項に掲げるダ軍は、タワーズGMのほか筆頭オーナーのケン・ケンドリック氏(70)が同席した。これまで同氏は、オーナー会議など球団経営に関する一般議事についてはホール球団社長に一任してきたが、今回は異例の直接出馬。チーム再建の陣頭指揮を自ら執る形で田中説得に乗り出した。さらに、いち早く背番号「18」を用意し、並々ならぬ熱意を伝えたとみられる。

 また、カブスはオーナーのトム・リケッツ氏(50)をはじめ、エプスタイン社長、ホイヤーGM、レンテリア新監督らが同席。今季からリニューアルされたキャンプ施設のビデオを見せるなど、環境面の充実も訴えたという。

 いずれの球団も、今回は「あいさつ程度」の初顔合わせと解釈しており、年俸総額1億ドル(約105億円)ともいわれる具体的な条件提示は、田中が帰国後の週明け以降となる見込み。現時点では、この6球団が1歩リードした形だが、今回面会しなかった球団が今後、急浮上する可能性もある。各球団の本気度からも、田中争奪戦は事前の予想以上に白熱してきた。