洗礼を浴びたのは、工藤ホークスだった。本拠地ヤフオクドームで韓国サムスンとの親善試合が行われた。新設された「ホームランテラス」のお披露目試合となったが、相手の4番に1号となる「テラス弾」を許した。強力打線を擁すチームは本塁打量産に期待がかかるが、自軍の投手陣にとっては脅威になる。工藤公康監督(51)は警戒しつつ、対策を講じる決意を固めた。

 ホームランテラス初披露の日に、工藤ホークスがまさかの洗礼を浴びてしまった。6回に韓国サムスンの4番崔■宇が右翼方向に痛烈なライナーを放った。打球はフェンスに直撃したが、これは昨年までのもの。低い弾道のまま、新設された外野フェンスを越えた。昨年の二塁打が今年は本塁打に化ける。2番手岩崎が生まれ変わった本拠地の1号を献上した。

 工藤監督 これは決まったことなので、投手が対応していくしかない。ホームランを打たれないための配球を考えないといけない。ゼロに防ぐことはできない。想定内の中で少なくしていく。ゴロを打たせることを頭に入れてやっていく。

 指揮官はこの日の試合前練習でグラウンドの中をくまなく歩いた。フェンスまでの距離が最大で5メートル短くなり、実際の距離感を体感した。6メートル近い高さを誇った「グリーンモンスター」は、もはや投手陣を守ってくれない。

 工藤監督 5メートルは意外と大きかった。どういう打球が入るのか、傾向を分析していかないと。どうやって対策していくか。それはピッチングコーチ、私の仕事になる。オープン戦でいっぱい打たれてもらおうか。

 冗談めかして言ったが、警戒していたことが早速、現実のものとなった。3回には左翼越えの打球がフェンス直撃の二塁打になった。昨年は左飛で終わったかもしれない。打たれた東浜は「あの打球でフェンス直撃なんてびっくりしました。(球場の)広さをまだ把握しきれてない」と驚きを隠せなかった。強力打線を擁しているチームには、当然、メリットはある。その一方で課題の投手力向上に、1つの懸念材料が生まれた。指揮官は悲観しない。いかに狭くなった球場と向かい合うか。この日を含め、開幕までヤフオクドームの試合は10試合。データを集め、対策を講じる。【田口真一郎】

※■は火へんに同