ロッテ涌井秀章投手(28)が、今季初の実戦に登板し、3回を4安打無失点に抑えた。無駄な四球を出さない2015年仕様の投球。1球でアウトを奪うことを理想に掲げた。次は登板間隔を空け、10日のDeNA戦(QVCマリン)に先発予定。開幕投手への準備が始まった。

 涌井は黙々とストライクを投げ続けた。1回無死二塁。打席の荒木に際どいボールをカットされ続けた。それでも根負けしなかった。17球目、外角直球で中飛に打ち取った。「四球を出さないようにと考えていた。三振を取れれば一番良かったんだけど、アウトになって結果的には良かった」。今季、掲げたテーマ「無駄な四球を出さない」ということを実践してみせた。

 昨年の反省を生かそうという意図が見える登板だった。「去年は無駄な四球が多すぎた。狙いすぎてカウントが悪くなるとリズムが悪くなる。1球で終われれば一番いい。ストライクゾーンで勝負していきたい」と、今季の取り組みを明かした。最初から最後までセットポジションで投げることで制球も安定。昨年のように直球がシュート回転することもなかった。

 そんな新たなスタイルを模索する涌井を首脳陣もアシストする。次回登板日はソフトバンク戦を避けて設定された。昨年、開幕3連敗を喫した相手へのリベンジに向けて伊東監督も「3つのゲームが開幕と思っている」と意識する。打倒ソフトバンクの1番手となる涌井への期待が大きいからこそ、ソフトバンク打線から隠す。

 涌井にも旗頭になる自覚がある。「まだ1カ月ありますから。最後の最後まで何があるか分からない。油断してケガをしたら意味がない」と、入念に準備する。この日の登板からも「もう少し腕が振れれば良かった。東京に戻って、遠投を増やしていきたい」と、修正点を見いだした。

 昨年も開幕投手を狙いたい気持ちを涌井は持っていた。だが、移籍1年目で出しゃばるのは失礼かもしれないと、気持ちを封印した。2年目を迎えた今季、涌井は前に出る。1球勝負のスタイルを身に付け、投手陣の柱となる。【竹内智信】