飲んでも飲まれるな。ロッテは3日、大学生ルーキーを中心とした若手選手に「お酒の正しい飲み方講座」を実施すると発表した。山室球団社長の発案で、7日のソフトバンク戦(QVCマリン)後、球場に専門家を招き座学を開く。一社会人として、お酒に関する正しい知識とマナーを身に付けさせる。

 え!? 球団がお酒の飲み方を教えてくれるの? と言っても「お湯割りは、お湯を先に入れる」といった話ではない。「お酒の正しい飲み方講座」は、その名の通り、どうすれば周りに迷惑をかけることなく、正しくお酒が飲めるかを伝授するもの。いたって真面目な選手教育の一環だ。

 講師は、アサヒビールコミュニケーションズの専門家。日頃から、企業の新入社員や大学生を対象に同様の講座を手掛けている。4部構成で、まずは「(1)健康的な飲み方について」。そもそも「酔いって何?」を考えるところから始める。続いて「(2)問題飲酒」。未成年や飲酒運転は厳禁。飲み過ぎやイッキなど、危険な飲み方について学ぶ。次は、いよいよ実践編「(3)お酒の席でのマナー」。どの席が上座か、目上の人にビールをつぐ時はラベルを上に、飲酒の強要はダメ等々。すぐに役立つ内容だ。最後は「(4)アルコールパッチテスト」。アルコールの分解スピードは人によって異なる。強い、普通、弱いの3段階でチェック。体質を知り、飲み過ぎを防ぐ。

 新人たちは興味津々だった。付き合い程度には飲む田中英祐投手(22=京大)は「これから、場も増えますからね」と、社会人の自覚を口にした。お酒は好きじゃないという宮崎敦次投手(22=広島国際学院大)も「自分の体質は知りたいです」と、パッチテストを望んだ。発案者の山室球団社長は「お酒は疲れた体を癒やしたり、ストレス解消効果などがある。一方でお酒による失敗やトラブルも多い。お酒と良い形で付き合い、健康的にはつらつとしたプレーを見せて欲しい」と期待した。

 プロ野球選手に限らず、社会に出ればお酒の付き合いは増える。楽しい場も、1歩誤れば、取り返しのつかない事態を起こしかねない。正しく学び、グラウンド外でも模範となる“プレーヤー”を目指す。【古川真弥】

 ◆アルコールパッチテスト アルコールの分解力を測るテスト。アルコールを染み込ませたパッチテープを上腕の内側に貼る。数分後、パッチテープをはがし、貼っていた部分の肌の色の変化で分解力が分かる。

<プロ野球選手とお酒あれこれ>

 ◆張り紙 05年2月のキャンプ中、木村一喜(広島)の背中に「森伊蔵を飲んだのは私です」の張り紙が。宿舎食堂に用意していた幻の焼酎を飲まれてしまった山本監督は「やっぱりアイツだったか。でも、飲んでいいと言ったし、外出しないだけいいだろ」と苦笑い。

 ◆ヤカン 82年西武に広岡監督が就任すると、選手に禁酒令が出された。夕食時、コップにつぐとばれるため、東尾修らはヤカンにビールを入れ、お茶のように湯飲みについで飲んでいた。

 ◆ツケ 社会人時代、飲み屋にツケを30万円もためてしまった永淵洋三(近鉄)は、契約金で支払うためプロ入り。2年目に首位打者を獲得し、漫画「あぶさん」のモデルとなった。

 ◆酒仙投手 試合後、ユニホーム姿のまま屋台で飲んでいたという伝説がある西村幸生(阪神)は主戦ならぬ「酒仙投手」の異名を取った。今井雄太郎(阪急)は78年、気の弱さを克服するため梶本コーチの勧めでビールを飲んでからマウンドへ。同年は13勝を挙げ、完全試合も達成。