侍でもホームランを打つ! DeNA筒香嘉智外野手(23)がオープン戦1号を放った。5回1死一塁の第3打席。日本代表仲間でロッテの守護神、西野の内角高め144キロ速球を完璧にとらえ右翼席中段へ同点2ランを運んだ。10、11日に東京ドームで行われる侍ジャパン対欧州代表でも5番が予定されており、筒香も自分が期待されていることは何かを十分に自覚している。

 筒香が、ホームランを打つ感覚をつかんだ瞬間だった。狙っていたのは外寄りだったが、逆球に対して詰まりながらも軸を中心にクルッと体が回転していた。「今までだったらファウルになっていた。これまではこういう打ち方ができなかった。やっとできるようになった」と充実した表情を見せた。頭が突っ込まないから、ステップが狭くなりうまく回転できたスイングだった。

 もうひとつの成長が左中間への強い打球だ。これも追い求めてきたが、1回2死一塁から唐川の緩い外寄りカーブをライナーで左中間へ同点適時打。「練習ではやってきたけど試合の中でできるようになってきた。打席の中で幅が広がります」と自信を深めた。投手からすれば外角も内角も左へ右へ打たれるのだから、やっかいな打者になった。

 侍に対する思いが強い。13年11月の台湾戦で仲良しの梶谷が選ばれ、筒香は落選した。中畑監督は「ものすごくうらやましそうな顔をしていたんだ。日の丸への思いをものすごく持っている男」と評した。第3打席も「かましてくれ、ゴウ!」と声を張り上げた直後に同点弾は飛び出した。期待に応えるのが4番だ。主将に指名したのも人間的な成長を願い、侍でも中心的な選手になって欲しいからだった。

 キャンプでは右翼の練習も課された。12年に12試合守ったが、ここ2年は左翼が中心だった。「送球に不安はない。ただ、打球の切れ方が違う。これからは練習でもちょくちょく入ろうかな」と進んで右翼の練習を取り入れるつもりだ。守備が安定すれば打撃に力が入れられる好循環となる。欧州戦でも期待されるのは1発だ。「魅力はそこだと思っています。大きいのが打てたらいい」。そして今季も成績を残し、11月の第1回WBSCプレミア12にも選ばれるのが大きな目標だ。【矢後洋一】