ハマの番長が日本ハム大谷を翻弄(ほんろう)した。先発ローテ入りを狙うDeNA三浦大輔投手(41)が、100キロに満たない宝刀カーブを駆使して大谷を2打数無安打に封じ込んだ。前回対戦した13年球宴でも超スローカーブで投ゴロに仕留めており、これで21歳下の大谷との対戦成績は通算3打数無安打とし、威厳を保った。予定の5回を被安打5、1失点、無四球と好投し、先発5、6番手争いに踏みとどまった。

 24年目のベテランの真骨頂がさく裂した。2回、先頭で大谷を打席に迎えた。オープン戦初登板の三浦は高城のサインにうなずくと、ゆったりとした始動から大きく、鋭く、腕を振り抜いた。99キロのカーブをストライクゾーンに収めた。「カーブからいってやろうと決めていた」。簡単にカウントを取ると、4球で追い込み、最後は外角への132キロ直球で三邪飛に仕留めた。5回の2度目の対戦でもカーブ2球で0-2とし、外角直球で3球勝負。フェンスいっぱいの中飛に打ち取った。

 大谷との対戦に心が躍った。一見、2打席とも完璧な内容で封じたように見えたが「追い込んでからが甘くなった。(3球勝負で仕留めようと)色気を出してしまったが、相手はしっかりとアジャストしてきた。泳ぎながらも、あそこまで運ぶんだから。ちょっと違うなと」と、真剣勝負を想定すれば反省が口を突いた。さらに「欲をかかずに、丁寧に我慢強くいかないと自分はダメ」と戒めた。

 中畑監督も三浦のスキを見逃さなかった。登板最終回の5回に2ナッシングと追い込んでから連打を許した。「追い込んでから失投が続いた。要所で大輔らしくなかった」と指摘。それでも5回1失点、無四死球の結果には「この時期にしては評価していい。次もチャンスがある」と、次回も1軍での登板を明言した。

 現状の先発陣は、久保、井納、山口、モスコーソの4人は固まっており、残り2枠を三浦を含む4投手で争っている。三浦は「勝負球が力んでコントロールが悪くなっている。打者との対戦を増やしていけば欲がなくなってくる。順を追って段階を上げていく」と淡々と話した。41歳のベテランは派手さも色気も排除して、虎視眈々(たんたん)と狙っている。【為田聡史】

 ◆前回の三浦対大谷VTR 13年7月19日、オールスター第1戦(札幌ドーム)で大谷は5回から登板、6回の球宴初打席で三浦と対戦した。2死一塁、3球連続の直球で1ボール2ストライクと追い込んだ三浦は、4球目にスピードガンが計測不能な超スローカーブを投げボテボテの投ゴロに。「80キロぐらいじゃないですか」としてやったりの三浦に対し、大谷は「個人的には感動しました」。