それでも先発の柱として頼む! ソフトバンク松坂大輔投手(34)は開幕2カード目の初戦、31日オリックス戦(ヤフオクドーム)でのシーズン初先発が決定的となった。2度目の実戦マウンドとなった巨人戦は寒さの影響もあり、3回3安打3四球、3盗塁を許して2失点と苦しんだ。それでも工藤公康監督(51)は変わらぬ信頼を強調し、エース摂津とともに先発の軸として期待した。

 長崎での思わぬ乱調にも、指揮官の信頼は変わらなかった。一塁側ベンチ裏。松坂について語る工藤監督の表情は、普段と変わらず穏やかだった。決して内容の良くない3回2失点。それでも31日オリックス戦でシーズン初戦を迎えさせる方針は揺るがなかった。

 「寒いのも、コンディションの部分もあったんじゃないか。修正が必要かもしれないが、本人が感じた中で修正してもらえれば。(ローテを変えず)このまま投げさせていく」

 長崎の寒空の下、制球に苦しんだ。3回までに64球を費やし、3安打3四球。毎回の3盗塁を許した。「どうしても体の心配、ケガをしないようにという意識が強くなり、100%(の力)を出そうという意識にならなかった。今の段階で投げる気候ではなかった」。寒さとも闘っていた平成の怪物は吉井投手コーチと相談し、4回の予定を変更、3回で投げ終えた。

 降板後はブルペンに戻り、クールダウンに努めた。5回終了時に予定されていたテレビのインタビューも急きょ断った。試合後は淡々と振り返った。

 「今日は何もできなかった。(収穫は)何もないですね」

 西武時代は苦にしなかった地方球場のマウンド。朝から雪が舞う悪天候が誤算だった。試合開始時の気温は4・3度。開始50分前まで雪が舞い、松坂はただ1人室内でアップ。平年より7度も低い気温に、ダイナミックなフォームも制御された。

 前回4日阪神戦は最速146キロ。2度目の実戦となったこの日は最速142キロにとどまった。それでも指揮官の信頼は不変。悪天候の地方球場で投げさせたのも、公式戦最初の登板から逆算した中6日調整を優先したためだった。

 次回は17日ロッテ戦で本拠地ヤフオクドームにデビューする。24日のウエスタン・リーグ、オリックス戦で最終調整。そのまま中6日で、昨年優勝を争ったオリックスとの今季初戦で9年ぶりに日本のマウンドに立つ。

 「次は長いイニングを投げたいですね。次はドームなので寒さに関しては大丈夫です」

 公式戦初戦に照準を合わせ、残り2戦こそきっちり収穫をつかむ。【福岡吉央】