中日谷繁元信兼任監督(44)が鉄槌(てっつい)を下した。オープン戦のロッテ戦(QVCマリン)で2四球の岡田俊哉投手(23)に強制送還を命じた。1軍にいた、ただ1人のリリーフ左腕。開幕1軍は確実とみられたが、岡田を高く評価していた谷繁兼任監督も容赦しなかった。この2四球から3失点で逆転サヨナラ負け。開幕まで約2週間。チームに緊迫感が漂ってきた。

 2人の行動は雄弁だった。ベンチ奥で鬼の形相の森ヘッドコーチは座ったまま動かない。谷繁兼任監督は仏頂面でベンチを出た。球審に投手交代を告げ、その場で岡田にジェスチャーで降板を指令。新球を受け取ると、マウンドには行かず、手袋を着けたまま、バックネット手前から野手陣に投げて渡した。

 「ストライクが入らないと投げるチャンスはなくなる。みんな一緒」

 指揮官の口調は厳しかった。森ヘッドコーチも「試合をしているんだから、ストライクが入らないと使えないよ!」と、話にならんとばかりに語気を強めた。

 2点リードの9回だった。3番手で登板した左腕は先頭の代打大嶺翔に4連続ボール。清田にも3連続ボール。1球はストライクを取ったが、次もボールで連続四球。わずか9球で降板の断が下された。

 非情通告は降板だけに終わらない。試合後、チームバスで横浜に移動した岡田は遠征を途中で離脱し、1人で名古屋に戻った。今日12日からナゴヤ球場で2軍に合流する見込みだ。

 1軍ただ1人のリリーフ左腕。13年に中継ぎで66試合と大ブレークした実績を買われ、昨年は先発に挑戦したが、今年は再びリリーフでのフル回転を期待されている。昨秋のキャンプ後には谷繁兼任監督が名前を挙げて成長を認めていた。左腕が手薄な中継ぎ陣では貴重な存在だった。

 また、この日のQVCマリンは強風が吹き荒れ、冷え込んでいた。それでも首脳陣は気候条件やチーム状況も一切関係なく、例外を認めなかった。

 今日12日のDeNA戦に登板する左腕のドラフト2位浜田智博(22=九産大)はリリーフ適性テストの意味合いを兼ねる。実績のある高橋聡も2軍でアピールしている。岡田でも安泰ではない-。開幕まで15日。勝利に貢献できる者だけが生き残るチームの掟(おきて)が、研ぎ澄まされていく。【柏原誠】