脱力投法、完成型へ! 阪神藤浪晋太郎投手(20)が、オープン戦最終試合のオリックス戦に先発し、無四球で7回2失点に抑えた。ストライク先行の投球で球数は86。オフに広島前田から教わった「脱力投法」が体になじみ、虎の実戦に限れば18イニング連続無四球。シーズン初戦となる29日中日戦(京セラドーム大阪)と同じマウンドで、上々の予行演習を終えた。

 藤浪は小気味よくストライクゾーンを突き続けた。69・8%がストライク球。侍ジャパン戦を除けば、18イニング連続無四死球で調整登板を終えた。強力オリックス打線を7回7安打4奪三振で2失点。わずか86という球数が進化の証しだ。

 藤浪 余計なフォアボールを出していないし、カウントを悪くしたりということもあまりなかった。意図して打ち取れたアウトも多かったと思います。

 最終調整の舞台は京セラドーム大阪。シーズン初戦の29日中日戦で上がるマウンドだ。同球場では昨季、3戦で1勝2敗、防御率5・40。「マウンドが硬くて傾斜があまりなく、ちょっとボールが浮きやすい」というイメージもあり、まずは対策としてマウンドを意識的に強く掘った。

 「そんなに良くなかった」という調子で最速は152キロどまり。球速がすべてではないが、140キロ台の直球も目立った。それでも前回マウンドで引っかかり過ぎていたスライダーの修正に成功。カーブを有効に使い、試合を作った。「ストレートが低めに決まらなかった」と反省した上で「マウンドの感触はそんなに悪くなかった。大丈夫です」。1週間後の本番に向け、確かな収穫を手にした。

 1月の合同自主トレ中に広島前田から脱力投法を教わった。2月の沖縄キャンプ、3月の実戦で取り組み続けた「脱力」の成果は数字に表れつつある。力みのないフォームで制球が安定し、5イニングを投げた2月28日の練習試合オリックス戦での3回表に2四球を記録したのを最後に、四死球ゼロが続く。四死球が減れば当然、大量失点の危険性が減少し、球数も減る。前回15日DeNA戦も6回で80球。今季目標の180イニング達成へ、前途は明るい。

 藤浪 制球にばらつきがあっても、しっかりストライクゾーンの中で収まっている。取り組んでいることはできつつあります。

 4日前の18日、センバツ大会出場中の母校大阪桐蔭宿舎を訪問。出場記念ジャージー、みたらし団子80本を差し入れた。周囲を気遣える男はマウンドでも着々と「大人」に成長している。必ず試合を作り、救援陣の負担を減らす。大崩れしないスタイルで、藤浪の3年目がまもなく幕を開ける。

 ▼藤浪の公式戦での連続無四球最長は16イニングで、13年5月5日ヤクルト戦3回~6月2日ソフトバンク戦4回。昨年は163イニングを投げ64四球。全25試合で四球を与え、与四球率3.53は、セ・リーグの規定投球回数を満たした15投手中ワーストだった。