いよいよ27日、プロ野球はセ・パ両リーグが開幕します。今年はどこが優勝するのか? やっぱり予想したくなる季節です。日刊スポーツ野球評論家の諸氏に、今年のペナントレースを占ってもらいます。

 まずはパ・リーグ編です。昨季日本一のソフトバンクは、工藤新監督を迎えどう戦うのか。大補強して臨むオリックスは頂点に立てるのか。この2チームを追うのは?

◆宮本慎也 主力選手だけ見ればオリックス有利

(1)オリックス(2)ソフトバンク(3)西武(4)日本ハム(5)ロッテ(6)楽天

 セ・リーグに比べ、順位予想はしやすかった。まず、オリックスとソフトバンクの戦力が突出している。総合力では断然、ソフトバンクがV候補だろうが、あえてオリックスの優勝と予想させてもらった。その理由は、総合的な戦力差より、主力選手だけの力量差を考慮したからだ。

 長いペナントで考えるなら、総合力で上回るソフトバンクがリードするだろう。しかし、実際にグラウンドでプレーするのは9人。ソフトバンクのレギュラーで気になるのは、遊撃手の今宮、二塁の本多、不確定な捕手の打撃力。他のレギュラー陣の攻撃力は抜群だが、3つの打順で攻撃力の劣る打者がいると、想像以上に得点しづらくなる。その点、オリックスのレギュラーで攻撃力が気になるのは、遊撃手の安達と捕手の伊藤ぐらい。3人と2人の違いだが、オリックスは内野のフォーメーションが豊富に組めるバランス力がある。複数ポジションが守れる中島、ヘルマン、そして控えが予想されるユーティリティープレーヤーの小谷野の存在が大きい。安達と平野恵で、打撃の好調な方をセカンドで起用するとか、攻撃力のバランスはソフトバンクより上だと思う。

 もう1つは、チームの雰囲気。新戦力の中島は明るく、闘争心も旺盛で、助っ人として新加入したブランコも、真面目な外国人選手。わがままな態度や自分勝手なプレーで、雰囲気を壊す心配もなく、数字以上のプラスをもたらせてくれると思う。一方のソフトバンクは、名前のある大物選手が多い半面、額面通りの働きができなかった場合のマイナスも大きいと思う。新監督の工藤監督は投手出身で、野手のヘッドコーチも不在。攻撃陣と統制がしっかりと取れるのか、疑問な要素が多い。よって、あえてオリックスを推した。

◆山田久志 オリックス、ソフトバンク、日本ハムでAクラスは決まり

(1)オリックス(2)ソフトバンク(3)日本ハム(4)西武(5)楽天(6)ロッテ

 オリックス、ソフトバンクの2強に割り込んでくるチームはない。あえていうなら日本ハムで、早い話だが、クライマックスシリーズ圏内の確保はこの3チームに絞られるだろう。

 オリックスは攻撃力が格段にアップした。中島一塁、小谷野が三塁に固定されたのは強力だ。二塁平野恵、遊撃が安達で固まって、外野もT-岡田が左翼、中堅が駿太か坂口、右翼が糸井で戦力は十分だ。

 ただ岸田、比嘉らリリーフ陣に故障者が出ているのがマイナス材料だ。抑えの平野佳がシーズンを通して働くかどうかが命綱で、強力打線で弾みをつけて好スタートを切りたい。

 チーム力で遜色のないのはソフトバンク。12球団唯一の投手出身、同じ“におい”がする工藤新監督に向けての期待は大きい。常勝の日本一チームを預かってプレッシャーを背負ったシーズンになるだろう。

 投手出身監督だから自然とピッチャーには厳しい視点になるし、投手起用には我慢ができるはず。松坂がインフルエンザで出遅れるのはプロフェッショナルとしてはいただけないが、戦力は豊富でうまく力を引き出してほしい。

 3番柳田、4番内川、5番李大浩のクリーンアップになるようだが、この並びも柳田を「3番」に置きたいという意図が感じられる。最初は選手の側がどのような野球をするのか手探り状態だろう。早く信頼関係を築くことが大切だ。

 上位2チームを追うチームをあえて挙げるなら日本ハム。二刀流3年目の大谷については15勝20本塁打を期待できるぐらいのスケールになってきている。話題になっている楽天松井裕はオープン戦を見ていて成長を感じた。体の軸がぶれなくなった。ペーニャら外国人が機能すれば面白い。

◆権藤博 楽天以外ならどこでもV

(1)ソフトバンク(2)日本ハム(3)オリックス(4)楽天(5)ロッテ(6)西武

 楽天が少し落ちるかなというぐらいで、どこが優勝してもおかしくない。でもやはりソフトバンクが1つ抜けている。昨年終盤、あれだけ失速したのに優勝できた。普通ならV逸ですよ。秋山監督がしっかり選手を育てたからだ。

 逆にオリックスは「火事場のばか力」を発揮した。優勝慣れしていないこともあってハイテンションで戦い抜いた消耗は激しいと思う。大補強したけど優勝は厳しいとみる。チャンスは日本ハム。理由は大谷の成長で、見せ物的だった二刀流がチームの顔になってきた。中田もいるし面白い。

◆梨田昌孝 日本ハム大谷が中6日でいけるか

(1)オリックス(2)ソフトバンク(3)日本ハム(4)西武(5)楽天(6)ロッテ

 オリックスは金子は少し遅れるが、ディクソンとバリントンは計算でき新人山崎福も使えそう。打線も糸井、中島を軸にT-岡田、小谷野と状態によっていろんな組み合わせができるのが強み。ソフトバンクとは選手の経験値は互角。この2チームで今年も一騎打ちになるのではないか。

 他の4チームでは日本ハムが戦力的には優位か。大谷が中6日のローテで回っていけるかがポイントだが、先発もそろっている。昨季盗塁王の西川を筆頭に中島、陽岱鋼、復帰した田中と機動力も魅力。西武は投手陣にやや課題がある。

◆篠塚和典 オリックス金子の復帰時期がカギ

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 ソフトバンク、オリックスの2強。ソフトバンクは投打の総合力で抜けている。オリックスはブランコの補強などで打線は厚みを増している。金子がどれだけ早く戻り、去年と同じ働きが出来るかが優勝争いの行方を左右しそうだ。日本ハムは若手中心ながら投打のバランスがとれている。打線は復帰した田中が活躍すれば面白い存在になる。西武はエース岸不在の穴をカバーできるか。チーム全体が若いだけに、いかに勢いに乗れるかだろう。ロッテは投手陣が不安。楽天は則本に次ぐ先発投手が出てこなければ厳しい。

◆小宮山悟 楽天はマー君の穴埋まらず…

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 2強4弱です。総合力でソフトバンクが抜けている。投手も野手も不安材料がない。これに負けない補強をしたのがオリックス。ただし守る場所がダブついているので森脇監督がどう使うかが問題。中島、小谷野、T-岡田…。ヘルマンを二塁で使ったりしているけど、どうするのか? みんなが納得して受け入れればいいが、そこが心配。あとは限りなく一緒で、バランスが取れている日本ハムを含めて3位争いは混戦になる。ロッテはデスパイネが遅れるのが痛い。楽天はマー君が抜け戦力ダウンしてから克服できていない。

◆佐々木主浩 西武まだ若く来年以降期待

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 オリックスは昨年優勝争いをした上でブランコが加入したのが大きい。チームとしての本気度が違う。金子も戻ってくれば投手陣もいい。ソフトバンクは工藤監督がどういう野球をやるのか。選手はそろっているが、摂津と松坂に多少不安がある。3位はロッテと日本ハムがいい争いではないか。伊東監督は3年目で選手を把握しており機動力も使える。ただどちらも投手陣は不安。西武はチームとしてまだ若く来年、再来年が面白い。楽天は則本だけ。ミコライオが戻ってくればいいが、松井裕がどれだけできるかは未知数。

◆緒方耕一 ソフトバンク戦力圧倒V2可能性大

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 戦力的にソフトバンクが他チームを圧倒している。昨年優勝しながら、大型補強もし、連覇の可能性は高いと思う。オリックスもいい補強をし、強くなっているが、長いペナントでソフトバンクを倒すには、総合力で足りないだろう。3位以下は混戦。日本ハムは若手が成長しているが、上位2チームに比べて物足りないし、西武、ロッテも大きな上積みはなさそう。楽天は投手陣の層が薄すぎる。打線がカバーしていかなければいけないが、それだけの攻撃力もなさそう。新監督の大久保監督だが、苦しい戦いになるだろう。

◆里崎智也 ロッテにゴールデンイヤー来た

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 ソフトバンクが地力で勝る。中距離打者の多い打線で、本拠地球場が狭くなったこともメリットの方が大きい。本塁打が倍増する可能性もある。今宮にも2ケタ本塁打の可能性がある。オリックスは金子が1年間、戦えなかった場合、戦力ダウンが否めない。新加入の選手が多く、バランスよく回せるか、首脳陣の力量も問われる。3位以下は力の差が小さいが、ロッテは5年周期で日本一になっているゴールデンイヤーなので推した。西武は中継ぎ陣が整備されれば、強力打線もあり、優勝を狙える恐ろしいチームになれる。

◆吉田義男 オリックスと阪神の日本一決戦

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 阪神とオリックスの日本一決戦をかなえてほしいものだ。オリックスは戦力が豊富で、わずか2厘差で優勝を逸した昨シーズンの経験が生かされるはず。糸井、中島、T-岡田に出遅れているブランコが復帰してくれば迫力満点だ。ソフトバンクの攻撃力も高いレベル。オリックスとの一騎打ちになる可能性が高く、これを日本ハム、西武などが揺さぶりをかける。

◆真弓明信 オリックスにV圧が心配

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 パはオリックス、ソフトバンクの2強で進むだろう。特に大補強を行ったオリックスが96年以来の優勝に輝く可能性は大きい。心配なのは、ここまで注目されたことは近年ないので、優勝候補に挙げられる重圧につぶされないかどうか。森脇監督は真面目なのでこの点が少し心配だ。この2球団に次ぐ3番目を挙げるのが難しいぐらいゲーム差は開くと思う。

◆今岡誠 投手力でオリックスがV

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 オリックスとソフトバンクの2強だと思います。ソフトバンクも強力ですが、オリックスは投手陣がいい。先発のコマもそろっており、リリーフ陣も状態がよければ充実しています。打つ方もブランコ、中島、小谷野らの補強で戦力アップしました。怖いのはケガです。救援陣で比嘉や岸田ら故障者が出ていますが、打線でもブランコがケガなく1年を乗り切れるか。

◆一枝修平 オリックスとソフトバンクの2強態勢

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 ソフトバンクとオリックスの2チームが優勝争いの中心だろう。ソフトバンクは投打において選手層が厚い。オリックスも大型補強で打線に厚みが増してきた。不安材料は金子が完璧な状態ではないこと。昨年の右肘手術の影響などでうまく回らなかったとき、戦力ダウンは免れない。ただ、故障者が出なければソフトバンクとオリックスの2強態勢となる。

◆桧山進次郎 今季は堂々のオリックス

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 昨年最下位予想のオリックスは終盤までもつれ込み予想を大きく外しました。森脇監督に謝ったら「野球は何が起こるかわからないからね」と言われ恐縮しました。今年は堂々オリックスです。金子の出遅れもカバーできるスタッフがそろい、攻撃陣も頼もしい。ソフトバンクは松坂に注目。戦力的にはひけをとりません。日本ハムは大谷ら若手が力をつけてきています。

◆広瀬叔功 NO・1補強オリックス

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 オリックス、ソフトバンクで優勝を争う可能性が高いと思う。オリックスの補強は12球団でも圧倒的だし、かなり強くなるはず。現役時代を過ごしたホークスは監督が新しくなった今年も手ごわいだろう。ここに日本ハムが加わってくるのではないか。個人的にいえば、森脇監督は2年間、ダイエー時代にコーチと選手として接してきた。とても真面目な男で、期待が重圧に変わらないかを心配する。

◆大石大二郎 ソフトバンクの鍵握る松坂

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 オリックスとソフトバンクの完全な2強ですね。この両チームを追い越せるところは、ないでしょう。オリックスは投打にメンツがそろっています。ソフトバンクは、松坂がキーを握っています。摂津、中田、大隣、スタンリッジ…と先発はそろっているが、だれかが不調に陥って欠けても控えが厚い強みがあります。ロッテは面白い。日本ハムは、開幕戦に登板する大谷が貯金ができれば台風の目になるかもしれません。