ソフトバンク工藤公康監督(51)が日本一連覇の重圧を歓迎した。26日、本拠地ヤフオクドームでシーズン開幕に向けて決意表明。前評判の高さにも「プレッシャーを感じられる所にいられるのがいい」と気負うことなく受け止めた。自らの性格と同様に「明るく伸び伸びとした野球」で監督1年目の偉業に挑戦する。

 工藤監督は置かれた状況を直視していた。投打ともに充実した戦力を持ち、評論家の戦前予想では優勝を推す声が多い。コーチを経験せずに、指揮官として迎える初めてのシーズン。日本一連覇を目標に掲げ、その重圧を歓迎した。

 「おれでも1位と予想するよ。プレッシャーはどこにでもある。みんなだって、そうだろ? プレッシャーを感じられる所にいられるのが、いいんだ。ワクワク、ドキドキがないと、おもしろくないじゃないか。苦労は買ってでもしろ、というしな」

 楽観論ではない。プレッシャーをいかにはね返すか。入念に準備を重ね、前向きに重圧と向き合う。この日、球場を後にしたのは練習終了から5時間後。「いろいろと確認をね」。誰よりも遅く残った。開幕の相手は西武時代の同僚である伊東監督。「シミュレーションを作った上で、何をされても動じないようにしたい。動じることもあると思うけどね」。開幕に向け、頭の中でベンチワークを何度も練っている。

 その上で、重圧をはねのけるキーワードに挙げたのは、自らのキャラクターと似ていた。「選手には、明るく真剣に、ということを伝えた。暗くなるのは良くない。伸び伸びやっている姿をファンに見せたい」。指揮官はファン目線を常に意識している。ツバ吐きやガム禁止令はその一環。グラウンドでは明るく伸びやかなプレーで、野球の楽しさを表現する。当然その先に求めるのは勝利だ。「ソフトバンクを倒せ、というチームばかりだろう。それに対して準備を怠らず、何があっても対応したい」。気負いはない。しかし覚悟はある。優勝請負人の第2章が始まる。【田口真一郎】