破壊力、パンチ力、機動力を兼ね備えたDeNA打線が大暴れした。巨人を相手に新4番筒香嘉智外野手(23)を軸に3番梶谷隆幸外野手(26)、5番ホセ・ロペス内野手(31)の強力クリーンアップが計9安打8打点の荒稼ぎ。2ケタ10得点を挙げ圧勝した。筒香は開幕から2戦連発となる看板直撃の特大2号ソロ。梶谷も4安打猛打賞と三盗をマークし、ロペスも古巣に1発を見舞った。就任4年目の中畑監督も「良すぎて困っちゃう。格好良かった」と大絶賛した。

 トドメの1発は衝撃的な弾道だった。大量7点をリードする9回無死。先頭のハマの4番筒香が、巨人を完全にリングに沈めた。西村の2ボールからの3球目。「無駄な打席は1打席もない。感触はまったくなかった。いったかなとは思った」と完璧すぎるスイングで右翼席上部の看板に打球を当てた。巨人野手陣がピクリとも動けない一撃だった。

 4番の働きが打線を活性化させ、相乗効果を生んだ。3番梶谷も前夜から引き続き、6打席連続安打をマーク。1回1死三塁の第1打席は左翼線への先制適時二塁打で開幕戦の敗戦ショックを一掃した。さらに1死二塁で筒香への初球に三盗を仕掛け、相手の失策も誘い、一気に生還した。梶谷は「冷静に頭の中だけは準備していた。開幕戦を落としているので、これでみんなの緊張がほぐれたかなと思います」と、主軸の一角を担う自覚をプレーで体現した。

 6回には5番ロペスにまで1号2ランが飛び出し、文句なしの圧勝劇。昨季は勝ち越した巨人との星を1日で五分に戻した。中畑監督の笑顔もはじけるかと思いきや、ベンチでは口元を引き締めて必死に我慢。「試合中は白い歯を見せずにかみ殺していた。本当は点が入るたびに大喜びしたかった。我慢をするのは本当に大変だね」と今季初白星の感慨に浸るうちに、いつものキヨシ節が戻った。

 4万人を超える敵地観衆に、リーグ3連覇中の巨人に、「本物の強さ」の片りんを見せつけた。中畑監督は「良いものは小出しにしてくれればいいのにな。(クリーンアップが)全員、打っちゃうんだもん。筒香と梶谷で8本でしょ。すごくない? 2本ぐらい明日にとっておいてほしかったよ」と、看板打者のそろい踏みに笑いが止まらなかった。

 勢いに乗れば無敵と化すDeNA打線が、グラウンドで躍動した。開幕前に中畑監督が「去年はまぐれ。今年勝ち越して本物」と話していた巨人戦の戦いぶりが、チームの指標になる。指揮官から「心中する」と新4番を託された筒香は、「明日もいい流れでいける。勝って本拠地開幕を迎えたい」と最高のスタートを飾った。止まらない、止められない-。チームも強力打線で開幕ダッシュを決めに行く。【為田聡史】

 ▼4番筒香が2号を含む4安打。DeNAで開幕戦から2試合連続本塁打は、99年鈴木尚が4月2、3日ヤクルト戦で記録して以来、16年ぶり。開幕カードが巨人のケースでは66年4月9、10日重松、80年4月5、6日ジェームスに次いで球団史上3人目の開幕戦から連発。この日は3番梶谷も4安打。DeNAが巨人戦で4安打2人は、05年4月7日に3番金城と4番佐伯が記録して以来、10年ぶり。前回は横浜スタジアムで、敵地の東京ドームでは、優勝した98年9月15日に3番鈴木尚と4番ローズが4安打して以来。