サヨナラ、サヨナラ、サヨナラだ~。中日が3試合連続、今季5度目のサヨナラ勝ちで首位キープだ。1-1の9回に平田良介外野手(27)が右翼越えの適時二塁打を放ち試合を決めた。3試合連続は球団初、プロ野球タイ記録。本拠地ナゴヤドームでは10勝1敗と無敵の竜。もう、春の珍事とは言わせない。

 この日のサヨナラ男は平田だった。1-1の9回2死二塁。2ストライクまで追い込まれた4球目。「自分が一番好きな所(コース)だったんで」。高め外角の145キロボール球に食らいついた。打球はふわりと上がり前進守備の右翼手の頭を越えてポトリと落ちた。二塁ベース付近で大はしゃぎの背番号6は同僚たちに浴びせられた歓喜のシャワーに大興奮だ。

 1回には1死二塁から初球ストライクを見逃すなどして空振り三振。2打席目も無死一塁からバントを決められず空振り三振。「自分がもっと早い段階で打ってれば…最後のチャンスをもらえて神様に感謝です」。最後の最後に自身のバットで振り払った。

 お立ち台のトークを得意とする大阪人は、竜党にとびっきりのプレゼントを用意していた。おもむろにボールを見せて「ここにサヨナラのボールがあります。欲しい人?」とニヤリ。大盛り上がりの観客に向けて惜しげもなく勝利球を投入した。「くれぐれもネットオークションに出さないでくださいね」と、爆笑インタビューを締めた。

 ミラクルのひと言では片づけられない。この日も終盤に追いつかれる嫌な展開で、打線も8回まで10安打を放ちながら、わずか1点。それがまさかの3試合連続サヨナラ勝ちという結末。ベンチから飛び出すナインの出足もそろってきた。

 本拠地では10勝1敗になり、今季11勝のうち5度が劇的幕切れ。その要因を問われた谷繁兼任監督も苦笑いだ。「分かりません。分かったら教えてよ。先発も粘っているし、リリーフも追いこされないように粘っている」と、投手陣の踏ん張りを1つの要因として挙げた。平田は「勝ちへの執念。1試合、1試合勝ちたいという思いを持って次の試合もいきます」と、振り返らずに前に進む。【桝井聡】

 ▼中日が12日DeNA戦、14日阪神戦に続いてサヨナラ勝ち。3試合連続サヨナラ勝ちは11年オリックス以来、14度目のプロ野球タイ記録。セ・リーグでは09年ヤクルト以来で、中日は初めて。これで4月の中日は5度目のサヨナラ勝ち。サヨナラ勝ちの月間最多記録は55年7月阪急の6度で、5度以上は14年7月西武以来6度目。セ・リーグで月間5度は68年7月巨人、93年5月ヤクルトに並ぶタイ記録。中日はまだ開幕17試合目。62年東映と89年日本ハムが17試合時にサヨナラ勝ちを4度記録しているが、17試合で5度は2リーグ制後初。中日はサヨナラ負けも3度あり、チーム17試合のうち8試合がサヨナラ決着だ。