固め打ちの森だ。西武森友哉捕手(19)がまた打った。2夜連続の3号3ラン。昨年、日刊スポーツの1面を3日連続で飾った、あの打撃が帰ってきた。「気分は最高です」とお立ち台で言った。だがマイクの音量が小さく、スタンドから「もっと声を張れ」と、ちゃちゃを入れられた。それほど、ヒーローの言葉をみんなが聞きたがる活躍だった。

 5回2死三塁、目の前でメヒアが敬遠された。「メヒが歩かされるのは当たり前」と割り切りつつも、前の打者が敬遠された経験は「今までの記憶にはない」と言う。投手も交代し、その初球に集中力を高めた。狙いを直球に絞って振り抜いた。

 調子が上がらなかった時期、バットに悩んできた。ホワイトアッシュからメープルに素材を変え、グリップエンドの形もタイカッブ型から通常形に変えた。だが「やっぱり去年の形がしっくりくる」と、ホワイトアッシュでタイカッブ型の昨年のモデルに戻した。この2日間の本塁打は全て、そのバットから生まれた。バットを戻したら、本来の森も帰ってきた。

 森のひと振りで勢いづいた打線は、連日の2ケタ安打で8点を奪った。田辺監督は「今、チームの中でも一番勢いがある。並の19歳ではないね。ベンチが盛り上がる。活気づく絶好のホームランだったね」と褒めた。1番から6番まで不動の西武打線。6番に座る19歳が、なくてはならない存在になりつつある。【竹内智信】