エースも上昇気流に乗った。DeNA久保康友投手(34)が、8回無失点の好投で今季初勝利をマーク。チームを今季初の5連勝に導いた。広島4回戦(マツダスタジアム)は1回に自身の失策も絡み、1死満塁のピンチを招いたが無失点で乗り切ると、エースの貫禄を示すかのようにゼロ行進を続け、9回の梶谷の決勝打につなげた。チームは7連敗から反転攻勢の5連勝で貯金2。中畑DeNAが「絶好調」の域に入ってきた。

 無表情のままマウンドに立ち続けた。今季5度目の先発となった久保は冷静沈着だった。1回1死満塁。いきなり、勝敗を左右する試合の局面を迎えた。5番シアーホルツに対し「ストライクゾーンに投げれば打たれないと思った」。フルカウントからの6球目、初めてバッテリーを組む嶺井のサインにうなずくと、真ん中付近に147キロ直球を投げ込み見逃し三振。続く野間も投ゴロに打ち取り、ピンチを切り抜けた。

 今季の開幕投手では、12球団で最も遅い今季初勝利。ここまでは4戦未勝利(2敗)にとどまっていた。ようやくつかみ取った1勝にも「チームが連勝していたので、自分のことよりも、それを止めなくて良かった」とニコリともしない。それどころか「一喜一憂してもしょうがない。1つ勝って有頂天になっているほど暇じゃない」と淡々と話した。自己評価とは裏腹に8回を投げ抜き、4安打無失点で任務完了。大瀬良との緊迫した投手戦をベテランの貫禄で制した。

 連勝前は7連敗を喫したチームも、ジェットコースターのごとく今季初の5連勝でV字回復に成功した。中畑監督は「内容がある濃いゲームだった。1-0の勝ち試合ができるところまで成長している。チーム力が1歩前進しているという期待感を持っていい」と手応えだけを強調。移動日だった前日27日に「幸運を呼ぶ新幹線」の異名を持つドクターイエローに遭遇した運気そのまま、連勝街道を進んだ。

 この1勝で07年以来8年ぶりとなる、4月終了時点での勝率5割以上も確定させた。何よりも指揮官を喜ばせたのは「久保が(去年の状態に)戻ったね。テンポ、コントロール、闘争心、すべて良し」とエースの復調だった。最後には「おかしくないか? うちのチームはすごくいいゲームをするね」と笑わせた。急上昇する中畑DeNAに必要不可欠なピースが加わった。【為田聡史】

 ▼DeNAが22日阪神戦から5連勝。中畑監督にとって5連勝は12年9月21~29日、14年7月9~15日に次いで3度目のタイ記録だが、12年は○○△○○△○、14年は○○○○△○で、引き分けを挟まない5連勝は初めてだ。これで貯金2となり、4月終了時の勝率5割以上が決定。DeNAが勝率5割以上で4月を通過するのは07年(4月終了時に14勝10敗)以来、8年ぶり。