小さな体でホームラン打者のような放物線を描いた。オリックスのドラフト7位ルーキー西野真弘内野手(24)が、4回にプロ1号2ラン。2死三塁で楽天美馬の高めカットボールを右翼席へ。身長167センチのチームで一番の小兵がリードを3点に広げ、今季楽天戦初勝利に導く大仕事だ。

 「自分の打撃の中でもあまり見たことがない弾道だった。本当かなと思った。めちゃくちゃうれしい」。セ・リーグ新人では広島野間、阪神江越が本塁打を放っているが、パでは一番乗り。満員の「オリ姫デー」で客席に目立った女性から黄色い歓声を浴びた。

 本塁打と縁遠い野球人生だった。高校以降、公式戦は昨年9月のアジア大会モンゴル戦以来2本目。東海大浦安(千葉)では通算8本。国際武道大で1本。JR東日本では3本。これらはすべて練習試合だった。

 プロで試合前のフリー打撃でも柵越えは記憶にないという。「打ったとしても最後まで(着弾点を)見ていない。自分はそういう打者じゃないので。この前札幌ドームで打ったらしいですけど」と頭をかいた。

 目標の平野恵にも恩返しの1発だ。小柄でガッツある同タイプの先輩から攻守ともひんぱんにアドバイスをもらっている。「経験があっていろいろ知ってるし、先輩のひと言が効いている。それで自信を持ってやれている」と感謝する。

 8回も右中間を破る2点適時三塁打など、スタメン出場5試合目でプロ初猛打賞となる3安打4打点の大爆発だ。連敗を2で止めた立役者に森脇監督も「躍動してくれた。頼もしかった」と目を細めた。元気者が、最下位のチームに勢いを運んできた。【大池和幸】

 ◆西野真弘(にしの・まさひろ)1990年(平2)8月2日、東京都生まれ。南葛西小時代に葛西キラーズで野球を始める。中学時代は浦安シニア。東海大浦安から国際武道大を経て、JR東日本では都市対抗準優勝。50メートル6秒2。遠投95メートル。167センチ、68キロ。右投げ左打ち。足のサイズは26・5センチ。