中日谷繁元信兼任監督(44)が、グラウンドからもベンチからも消えた…。DeNA戦で9回からマスクをかぶったが、本塁セーフ判定を巡り、審判に触れて抗議したとして退場が宣告された。同兼任監督の退場はプロ27年目、出場3001試合目で初めて。9回2死から、守護神の福谷浩司投手(24)が打ち込まれ、兼任監督が退場となるショッキングな逆転負けだ。

 ナゴヤドームが騒然となった。9回だ。暗転の序章のように、2死からの3連打で1点差まで迫られた。なおも一、二塁。DeNA関根の打球が右中間を破ると、二塁走者に続き、一塁走者バルディリスも本塁に突入してきた。本塁後方で返球を受けた谷繁兼任監督がタッチを狙ってホームに飛んだ。だが、山路球審のコールはセーフ。次の瞬間。同監督が球審に詰め寄り、退場が宣告された。

 ざわめきが消え、静まりかえった観客に向けて山路球審は「キャッチャー谷繁選手が私に触れたので退場としました」とアナウンスした。暴力行為ではなく審判に触れて抗議したための退場という判断。試合後も右胸に付いたロジンの白い粉を見せて「両手で触れたからその時点で退場。(判定については)セーフと判断したのでセーフにした」と説明した。

 一方、谷繁兼任監督は試合後の監督会見をキャンセルする異例の事態。通算3001試合目の出場だが、退場は初めて。それでも、1時間後に球場を出る際は極めて冷静な口ぶりだった。「見ての通りです。自分の中では(バルディリスの)足が入る前にミットを(本塁に)置いた。アウトと思って見たらセーフというジャッジが来たので…」。一連の流れを淡々と振り返った。

 7年目でプロ初先発の小熊が6回1失点と好投し、勝利は目前だったが…。あとアウト1つから、守護神が連打を浴び、さらに谷繁兼任監督の退場。「(退場は)行為自体が残念ということはないけど、チームが負けた。グラウンドからいなくなったことでチームに迷惑をかけた」(谷繁兼任監督)。今季勝率8割を超えていた本拠地。ファンにとっても、谷繁兼任監督にとっても、信じられない逆転負けに違いない。【桝井聡】

 ▼兼任監督の谷繁がプロ27年目で初の退場。2リーグ制後、兼任監督の退場は67年5月16日中西監督(西鉄)同年6月14日小玉監督(近鉄)71年4月22日村山監督(阪神)07年4月19日古田監督(ヤクルト)に次いで5人目。中西監督と村山監督は選手としては出場しておらず、選手で出場していた兼任監督の退場は3人目だ。