大阪から祝どんたく開幕! ソフトバンクが今季11度目の逆転劇でオリックスを下した。2点を追う9回に1点を返し、なおも2死二、三塁で吉村裕基外野手(30)が逆転の2点適時三塁打。右太もも裏の違和感で欠場した中村晃の代役としてベンチの期待に応えた。3カードぶりの勝ち越しを決め、博多どんたくで沸く地元福岡に戻る。

 打球が右翼線に転がると、京セラドーム大阪左翼席の鷹党が沸いた。それは、どんたくで盛り上がる博多の街にも負けない興奮だ。歓声を一身に浴びたのは、毎年ゴールデンウイークに本塁打を量産している福岡出身の吉村。今年も「黄金週間」男は健在だった。

 押せ押せながら、9回2死の土壇場。二、三塁でオリックス岸田の外角直球を右翼線に運んだ。逆転の三塁打。柳田、李大浩、松田がつないでつくったチャンスで、普段は代打の脇役が堂々の主役を演じた。

 「ここのところ、必ず9回には追いついたり追い上げたりしている。何かあると思って準備していたのがいい結果につながった」

 試合前の打率は1割8分2厘ながら、中村晃の欠場で回ってきた今季6度目のスタメン。「打席も少ないし打率も低い。心が折れそうになる時もあるけど、自分を信じた」。普段は「僕は脇役ですから」と謙遜する男のブレないひと振りが、起死回生の一打となった。

 17日間のロードを終え、久々に本拠地ヤフオクドームで試合を迎えた4月21日だった。吉村は思わずこう漏らした。「やっと打てますね」。ビジターや地方球場での試合が続き、限られた時間の中でしか打撃練習ができない。それでも、宿舎での素振りやウエートトレーニング、自転車型トレーニング器具などで体を動かし、開幕時から体の状態を維持しながら出番を待ち続けた。

 ベンチの読みも的中した。吉村の先発起用は試合前、大道打撃コーチが工藤監督に進言していた。「吉村の軌道はバットが下から出てきて独特。西のボールの軌道に合うと思うので、スタメンで使ってみてはどうでしょうか」。決勝打は西ではなく岸田からだったが、ベンチに期待に応えた吉村に、大道コーチも「結果的に起用が的中したね」としてやったりの表情だ。

 これで3カードぶりの勝ち越し。互いに懐かしのユニホームで挑んだ「近鉄対南海」の大阪対決「OSAKA CLASSIC 2015」を制した。吉村は「ゴールデンウイークはいい思い出があるので、チームと一緒に上昇していきたい」と、今日4日から本拠地で迎えるロッテ戦での大暴れを誓った。さあ、今度は博多でどんたくだ!【福岡吉央】