神懸かりの勝利だ。DeNAが、今季最大の5点差をはね返しての9回サヨナラ勝ち。球団記録に並ぶ横浜スタジアム11連勝を決めた。4番筒香嘉智外野手(23)の3試合連続アーチで劣勢を振り払い、途中出場の井手正太郎外野手(31)が同点打&サヨナラ打。2万8582人の大入りの本拠地が、歓喜に酔いしれた。

 興奮冷めやらない中畑監督は、息つくことなく一気にまくしたてた。「すげえな、おい! もう、神懸かってるよ。最後の感動をみんなで味わえたのが何よりの幸せ。野球は素晴らしいね! 野球の神様がついてくれているのかな」。試合を振り返る余裕がないくらい、劇勝の喜びに浸った。

 3回までに大量5点のビハインド。好機もつぶし続けた嫌な空気を振り払ったのは、やはり4番だった。下園の適時打で1点を返し、なお2死一、二塁の5回。筒香が真ん中低めの速球を思い切りしばき上げた。打った瞬間スタンドインと分かる3戦連発の11号3ラン。「ゾノさん(下園)がつないでくれた気持ちを受けて、必死になって打席に立ちました。勝ったことが一番よかった。4番の仕事ができたかなと思う」と、重責を全うしての勝利に笑顔を見せた。

 それまでの2打席は外角中心の配球で連続四球。バットを振ったのは1度だけ。「攻めは厳しくなってくる。じっと待つしかない」。仕留められる球だけを待ち続け、3打席目に完璧にとらえた。かつて散見した、外のボール球を追い掛けてしまう姿は、もうない。「我慢強くなりました。心の面でも成長できているかなと思います」。そんな主砲に中畑監督も目を細めた。「最高の勇気を球場全体に与えてくれた。みんなに『今日もいける』って思わせた。1発で空気を変える仕事をしてくれた」と賛辞を惜しまなかった。

 井手のサヨナラ打をネクストサークルで見届けた筒香がまず抱き合ったのは、飛び出してきた中畑監督。その姿はまるで選手同士のようだった。まさに一丸のチームを、4番として、主将としてけん引する男は力強く言う。「これからも厳しい試合は増えてくる。ベンチの中から負けない雰囲気をつくっていきたい」。

 本塁打11本中、5本が本拠地での1発。「もちろん好きな球場です。(球場の)広さじゃなくて、お客さんがたくさん入って大声援がありますから。力強さをもらえてます」。11連勝では終わらない。これからも大好きなハマスタで、感謝の気持ちをバットで伝え続ける。【佐竹実】