オリックス金子千尋投手(31)がぶっつけ本番マウンドで沈んだ。昨年11月の右肘手術から再起し、2軍登板0で迎えた15年初先発。だが球威、制球とも昨季2冠の面影はなく、自己最短タイの3回で7安打6失点KOされた。

 金子 実戦間隔は気にならなかったです。でも結果的に打たれて、期待に応える投球ができなかった。申し訳ないし、悔しいです。

 初回は最速147キロを出して無失点に抑えた。だが2回は福浦の先制二塁打に続き、清田に甘く入ったシュートでプロ3発目の満塁被弾。大量5点を失った。3回にも投手強襲打で1失点。高山投手コーチは「本人と相談した上で」60球での降板を決めた。金子本人が否定した実戦感覚不足について「それもあったと思う」と影響を認めざるを得なかった。

 金子 僕がいなかったことでチームに迷惑をかけていると思う。他の投手にも負担をかけている。申し訳ないし、もどかしいです。

 昨オフ、メジャー移籍を断念し「このチームで優勝したい」とFA残留した。だが右肘手術の代償で、指名された開幕投手も回避。大型補強でV候補筆頭とされたチームは最下位に低迷した。その責任を一身に背負った復帰戦。気合は無情にも空転した。

 5度目の4連敗で借金はワースト更新の14。だが森脇監督は「今日が第1歩。次の登板で本来の姿を出してくれると思う」と信頼を強調。次回は中6日で30日広島戦を託す考えだ。金子も「今日の投球は、最初で最後にしないといけない。しっかり修正したい」。同じ失敗は繰り返さない。エースの名にかけ名誉挽回を期す。【松井清員】