日本ハム大谷翔平投手(20)が、球団初となる開幕戦からの7連勝を成し遂げた。「日本生命セ・パ交流戦」の中日2回戦で8回を投げ、今季自己最多となる毎回の13奪三振、3安打2失点。球数が110球を超えた8回にこの日最速タイの159キロをマーク。チームの連敗を止め、再び勝数、奪三振、勝率の3部門でリーグトップに立った。ソフトバンクが敗れたため、チームは1日で首位を奪い返した。

 顔つきが変わった。2点を失って迎えた4回。大谷の心理に、変化があった。「もう後がなかった。次の1点はやれない。そういうところで力が入りました。全力でいきました」。鬼気迫る快投が始まった。降板する8回まで、すべて3者凡退。110球を超えてマークする159キロ。毎回の13三振を奪い、3安打2失点で連勝を7に伸ばした。開幕投手の7連勝は、6連勝で並んでいた79年高橋直を超え、球団初の快挙だ。

 2回には和田、3回にはルナに適時打を浴びた。「真っすぐに合わせて振ってくると感じた」。マスクをかぶる大野とも相談し、スライダーを有効活用することにした。味方が逆転してくれた直後の7回には、高橋周をスライダーで追い込み空振り三振。続く杉山からは、同じボールで見逃し三振を奪った。「そういうイニング(逆転の後の回)はなるべく三振を取りに行く」。狙って三振を奪い、相手の士気を消沈させた。

 忘れられない登板がある。昨年5月20日の中日戦。4点リードの6回に、1死も奪えないまま5点を失った。大量リードに気が緩んだ。不用意に投げたボールを、痛打された。「自分の不注意だったり、意識の差」。今はそう振り返ることができる。この日をきっかけに、1球1球に意図を持って投げるよう、意識が変わったという。1年後の同じ舞台、同じ相手。苦い記憶を、成長によって塗り替えた。

 お立ち台では、衝撃発言も飛び出した。「明日は有原さんが勝ってくれると思うので…」。ここまではいい。有原が初登板初勝利を挙げる前日だった、14日西武戦後のヒーローインタビューと同じ流れ。続けた言葉に栗山監督が仰天した。「…僕は打席で頑張りたいです」。約2万人のファンの前で、中0日での強行出場を志願。指揮官も思わず「ひどいよね、脅迫だよ」。最後の最後まで“全力”だった。【本間翼】

 ▼大谷が無傷の7連勝。交流戦は通算10試合に登板して5勝0敗と、まだ黒星がない。日本ハムで無傷の7連勝以上は、14年中村以来9人目(最長は81年間柴の15連勝)になるが、開幕投手では大谷が初めて。大谷は昨年の5~7月にも7連勝を記録、プロ3年間でシーズン7連勝が早くも2度目。日本ハムで2年続けてシーズン7連勝以上を記録したのは、61年9連勝、62年7連勝の土橋、06年10連勝、07年8連勝のダルビッシュに次いで3人目だ。