日本ハムが、新外国人ミッチ・ライブリー投手(29=ナショナルズ3A)を獲得することが15日、分かった。条件面で基本合意に達し、近日中に正式発表される。140キロ台後半の直球にスライダーが武器の本格派右腕。メジャー経験はないが、今季3Aで18試合、防御率2・31と好調で白羽の矢を立てた。やや不安定な右の中継ぎ要員に期待。巨人から矢野らを獲得する交換トレードを成立させたが、3年ぶりV奪回へまた緊急補強を敢行した。

 パ・リーグ首位を走る日本ハムが、積極補強の「二の矢」を打った。巨人から矢野を獲得した交換トレードの余韻の冷めない中で、新助っ人を補充することが、分かった。ナ軍3Aで中継ぎとして活躍するライブリーと既に条件面などで合意したもよう。渉外担当者が14日に日本をたち、木田GM補佐もこの日に後を追うように緊急渡米した。交渉は大詰めで正式契約は決定的な情勢。近日中に球団から発表される予定だ。

 現状、今後の戦いを加味すれば適材といえる魅力を持つ。ライブリーはメジャー経験こそないが、マイナー通算290試合で40勝30敗、14セーブで防御率3・71。右のパワー投手で12年から3Aに定着しメジャー昇格まで、あと1歩に迫るほど着々と実力を伸ばしてきた。今季は成長著しく3Aで18試合35回で2・31と、安定した成績をマーク。かねて日本ハム側は注目しており、今回が獲得するベストのタイミングと判断して踏み切った。

 昨季、右のセットアッパーだったクロッタが開幕から大不振。現在は1軍に同行も、2軍で2度の再調整を余儀なくされ、今後も計算できない状態。期待の3年目の鍵谷も安定感を欠き、勝利の方程式が確立できない状況だった。経験豊富な右の中継ぎの矢貫を、巨人とのトレードの交換要員としたチーム事情もある。体力の消耗が激しい夏場は、これまで以上に継投策が重要になる。勝負本番の時期への備えとして、140キロ台後半の直球とスライダーなどを操るライブリーに白羽の矢を立てた。

 前半戦終了を待たずに、大胆な補強を連発。ライブリーは米の一部メディアで、阪神入りとも報じられたが、射止めたのは日本ハムだった。米球界関係者らによれば、日本の複数球団が水面下で興味を示していたという。今季の新外国人野手の目玉だったハーミッダが左手舟状骨(しゅうじょうこつ)結節不全骨折で前半戦絶望。ゆとりの出た1軍最大4人の外国人枠を有効活用するために「第6の助っ人」を、急きょ加えた。狙う3年ぶりのパ制覇へ本気度がにじむ、一手といえそうだ。

 ◆ミッチ・ライブリー 1985年9月7日、米カリフォルニア州生まれ。カリフォルニア州立大サクラメント校から07年ドラフト16巡目でロッキーズ入団。翌年ジャイアンツ傘下に移籍し、12年から3A定着。昨年自由契約となりナショナルズとマイナー契約。メジャー登板はなく、3A通算126試合(うち先発44試合)で26勝17敗、防御率4・12。196センチ、113キロ。右投げ右打ち。

 ◆日本ハムの中継ぎ右腕事情 クローザー増井につなぐ役割で、主に3年目の鍵谷、チーム最多29試合登板の谷元が起用されている。昨季30ホールドを記録した来日2年目クロッタが、開幕から不安定で2度の出場選手登録抹消を経て、9日に1軍復帰したが防御率は9点台。開幕から再三の好救援を披露してきた鍵谷も、ここ2試合連続で失点している。全体的に疲労が見え隠れする状態で、今季2度先発で結果を残せなかった斎藤を、中継ぎ要員として13日に出場選手登録したばかりだ。