高々と上がった「御礼弾」が、ライトスタンド上段に飛び込んだ。6回1死二塁。西武森友哉捕手(19)に、14試合ぶりの13号2ランが出た。体を強烈に回転させて、日本ハム斎藤の内角高め直球をかち上げた技ありの1発。「最近は内角に詰まることが多かったが、うまく打てた。良かったです」と振り返った。

 このひと振りが野球ファンを魅了して、両リーグ最多の53万6267票で球宴に初選出された。19歳での最多得票は55年吉田義男(阪神)、95年イチロー(オリックス)の21歳を超える史上最年少の快挙。「ビックリです。オールスターなのでフルスイングで1発を狙いたい」と、大舞台でも持ち味を貫くつもりだ。捕手で出場ならば、大谷とのバッテリー結成という夢も膨らむ。「捕れないでしょう(笑い)。受けられるなら受けてみたい」と無邪気に笑う19歳に、日本中から熱視線が注がれている。

 4打数無安打に終わった前日25日の試合後、田辺徳雄監督(49)に昼の2軍戦も出場する「親子ゲーム」を直訴した。指揮官は「断る理由もないからな。見上げたもんだよ、屋根屋のふんどし」と映画「男はつらいよ」の寅さんのセリフを出すほど、向上心を喜んだ。森は「状態があまり良くなかったから1打席でも実戦の中で立ちたかった」。2軍戦では2打数無安打も、その夜には猛打賞の大活躍に「打てたので、行って良かった」と汗をぬぐった。待ち受ける夢舞台でもフルスイングでファンを沸かせる。【松本岳志】

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 ◆最多得票 両リーグ最多得票は西武森の53万6267票。55年吉田(阪神)、95年イチロー(オリックス)の21歳を抜き、史上最年少19歳での最多得票となった。セ最多はDeNA筒香の44万3313票。

 ◆投手、野手での選出 日本ハム大谷は13年に外野手部門3位で選ばれており、ファン投票では2度目の選出。投手と野手での選出は53年(投手)、63年(外野手)の関根潤三(近鉄)以来、2人目。

 ◆広島5人 広島からは黒田、会沢、新井、菊池、丸の5人が選出。一昨年(3人)、昨年(8人)と3年連続でリーグ最多。