孝行息子じゃ! 広島クリス・ジョンソン投手(30)が8回5安打無失点でハーラートップタイの7勝目を挙げた。立ち上がりは制球に苦しみながら、尻上がりに調子を上げた。3回に新井の先制2ランなど援護もあり、8回まで投げきった。米国から観戦に訪れた両親の前での快投。チームは借金を4まで減らし、東京ドームへ乗り込む。

 粘投を続けるジョンソンの胸には、父の教えがあった。決して得意ではない立ち上がり。1回にいきなり内野安打と左前打で無死一、二塁のピンチを背負った。だが冷静に三振ゲッツーで2死までこぎつけ、ルナを遊ゴロに仕留めた。初回にして3度目のフルカウントの勝負だったが、落ち着いていた。

 「タイミングとかリリースという技術的な部分を修正できた。早い段階で出来たので球数も抑えられた。投球が機能した。とにかく勝てて良かったよ」

 一塁側内野席。この日は優しい目がジョンソンを見つめていた。4歳のころには父リチャードさん(58)から野球を教わっていた記憶が残る。「きっと、もっと前から教えてくれていたんだと思うよ」。父を支え、そばでほほ笑む母キャレルさん(58)の姿も鮮明に覚えている。プロになっても感謝を忘れたことはなかった。来日し、観戦した両親にささげる1勝だった。

 「野球をする上で、どうするべきか。精神的な部分を中心に、教えてくれたのが父。マツダスタジアムでこれだけのファンに応援されて投げる姿を見せられて良かった。明日、カンザスシティーに帰るんだ。気をつけて帰ってほしい」

 150キロに迫る直球と、人さし指を立ててボールを握る「スパイクカーブ」を駆使し、技術面の成長も見せた。7回の1イニングを6球で終わらせると、計108球の球数に首脳陣も続投を決断。結局8回5安打無失点で役目を終えた。グッドラックの7勝目で、ハーラートップに並んだ。緒方監督も「8回までゼロだからね。今日もナイスピッチング」と力投をたたえた。ジョンソンの立派な親孝行で、みんなが笑顔になった。【池本泰尚】