初出場のノースアジア大(北東北)が4強に進出した。タイブレーク(1死満塁から攻撃)の延長11回表に4番棈木(あべき)裕亮捕手(1年=明徳義塾)のスクイズなどで3点を奪い、八戸学院大(北東北)を退けた。仙台大(仙台6大学)富士大(北東北)、東北福祉大(仙台6大学)も準決勝に駒を進めた。今日29日に準決勝、決勝が行われる。

 快進撃が止まらない。初戦2回戦で春の南東北王者・東日本国際大を3-1で破ったノースアジア大が、今度は同じ北東北2位の八戸学院大斬りだ。1-1の延長11回1死満塁。押し出し四球で勝ち越すと、4番棈木がスクイズに成功(記録は一塁内野安打)。その後捕逸で1点を加えて計3点。「嶋崎野球」の神髄が初陣4強をもたらした。

 12年4月に就任した嶋崎久美監督(67)は、金足農(秋田)を春夏合わせて7度甲子園に導いた名将。その経験をもとに、強く教えてきたのは「1点の重み」と話す。この日はDHを含め先発10人中8人が1、2年生。金属から木製バットになって日が浅い選手が多く、それほど打力に自信があるわけではない。スクイズの場面は「4番だからとかじゃなく、とにかくもう1点」と説明。かつて甲子園を沸かせた戦法に、満塁でも迷いがなかった。

 10季ぶりに1部昇格した昨秋は最下位6位に終わったが、今春は5位と順位を上げて今大会初出場。「2試合とも接戦。選手たちは良く頑張っている」と頬を緩め、就任時部員4人からのスタートを思い出し「よくここまできているよ」と話した。今では部員60人を超える。

 選手の多くが大学のある秋田の高校出身。八戸学院大には昇格後4戦とも勝てていなかった。棈木は「1試合1試合、強くなっていると思う」と手応えを口にする。今日29日の準決勝は春の仙台6大学の覇者・仙台大と対戦。「すべて挑戦ですから」。嶋崎監督に気負いはない。【久野朗】

 ◆東北地区大学野球 06年に第1回大会が開催され、今年で10回目。春季リーグ戦終了後、東北地区3連盟(北東北、仙台6大学、南東北)のチームがトーナメントで優勝を争う。第4回まで各リーグ上位2校が参加していた。昨年から各リーグ1部6校の計18校。優勝した連盟には、秋の明治神宮大会東北地区代表決定戦の出場枠が1つ増え、その他の連盟が上位2校に対し、上位3位が出場できる。