虎の剛腕の直球を、首位巨人が2日連続で力ではね返した。1回の坂本勇人内野手(26)の6号先制ソロを合図に、今季初の先発全員安打の11得点で5連勝をマーク。2位とのゲーム差を2・5に広げた。

 狙い通りに打ち砕いた。藤浪の直球を本塁打と2本の適時打に仕上げ、6回途中7失点でKO。忠実なミッション完了に、原辰徳監督(56)は「我慢しながら先制、中押し、ダメ押しと、素晴らしかった」と声を弾ませた。

 明確に意思統一されていた。藤浪は150キロ超の剛速球に、カットボールとフォークも一級品。昨季はクライマックスシリーズをはじめ、メッセンジャーとともに、そのパワーに苦しんだ体験が下地にあった。昨秋から160キロの超高速マシン(通称・球道くん)を相手に直球の対応を磨いた。原監督は「両方を追いかけるのは難しい。そっち(直球)に的を絞っていけた」。軸の得意球を正々堂々打ち返すプランを選んだ。

 手本を示したのが、キャプテン坂本だった。1回2死で、高め150キロをバックスクリーン左へ運んだ。今季から2打席目の登場曲に長渕剛の「My Self」を選んでいる。曲選びでは「だから 真っ直ぐ 真っ直ぐ もっと真っ直ぐ生きてえ♪」という、一本気な歌詞にほれた。

 ちゃめっ気交じりの「真っすぐ投げてほしいなあ」という思いも、バットに込めていた。直球に振り負けない姿に仲間も続き、変化球は見極めて7四死球をもぎとった。「変化球がいいところに決まったらいい結果が出ない投手。割り切って、甘い球をみんなが打てたのではないですか」とほっとした表情で言った。

 首位攻防戦を兼ねた伝統の一戦で、2日続けて難敵を攻略した。原監督は「どこかに勢いがあるようにみえますね」と手応えを示しつつ「まだ、たまたまだと思います。そのように表現させてください」と、最後はかぶとの緒を締めた。【浜本卓也】

 ▼巨人が15安打、11点で5連勝。この日は先発の9人が全員安打を放ち、途中出場の中井を含めて8人が打点をマーク。巨人の先発全員安打は昨年4月26日広島戦以来となり、8人が打点を記録したのは13年8月25日DeNA戦以来、2年ぶりだ。7回には40歳の井端が今季1号。巨人で40代選手の本塁打は今季の高橋由に次いで6人目だが、シーズンに2人は初めてになる。これで巨人は88年から本拠地の東京ドームで通算999勝目。今日の阪神戦で東京ドーム1000勝を目指す。