藤浪でも負けた…。6連勝中だった阪神藤浪晋太郎投手(21)が、プロ最悪の乱調で巨人に屈した。初回、坂本に先制ソロを許すと制球が慎重になり、自己ワーストの7四死球。6回途中でKOされた。終わってみれば15安打11失点とやられ放題で東京ドーム6連敗。宿敵に今季4勝9敗と屈辱の数字が並ぶ。ゲーム差は2・5。首位に食らいつけるのか、正念場だ。

 百戦錬磨のG戦士たちに、藤浪の誘い球はことごとく見極められた。ボールゾーンに沈むカットボール、フォークに、バットを止められる。あれだけ猛威をふるっていた低め変化球で空振りを取れない。試合後は厳しい表情のまま、5敗目の原因を探り出した。

 藤浪 低めの真っすぐが決まっていなかったので、「低めは捨てろ」となったんだと思います。

 試合前のブルペンから、状態は「相当良くなかった」。1回2死。3番坂本への150キロ直球が真ん中に入り、先制ソロをバックスクリーン左に運ばれた。4戦ぶりの被弾で出ばなをくじかれ、以降も繊細な制球力を欠いた。バランスのズレを解消できなかった。

 藤浪 真っすぐが良くなくて空振りを奪えず、キレのあるボールでファウルも取れず、苦しかった。体の使い方がすごく悪かったわけじゃないけど、修正点をつかめずバタバタしたままいってしまった。

 3回1死一、三塁でカットボールが引っかかり、暴投で2失点目。4回1死一、二塁では8番相川に外角高め152キロを狙い打たれ、大飛球の右中間適時二塁打を献上した。5回は2死から2四球1安打で満塁とされ、151キロ直球が抜けて7番村田に押し出し死球。6回2死満塁から5番長野に外角高め直球で右前適時打を浴びたところで、白タオルが投げ込まれた。

 藤浪 工夫が足りなかった。右左問わず、原点の外角低めにコントロールできなかった。(不調の要因は)体の使い方もリリースポイントも、いろんな要素がある。どうにかしないといけないのに、ゲームを作れなかった。

 打点を稼がれた痛打はすべて浮いた直球をたたかれたもの。ゾーンを上げる-。相手の策にはまり、6回途中を9安打7失点。自責点7、7四死球はプロ入り後ワーストの数字となった。自身の連勝は6でストップ。5月8日広島戦以来となる黒星の味は苦すぎた。

 藤浪 個人的なことなので(連勝ストップは)別に…。チームが負けたのは良くない。しっかり反省して、次につなげたい。

 登板機会がなくなるため今日12日に出場選手登録を抹消され、18日球宴第2戦(マツダスタジアム)登板を挟み、後半戦に突入する。この日生じたフォームのズレは決して大ごとではなさそうな気配。次回は再び大黒柱らしく、落ち着いたマウンドさばきを披露することだろう。【佐井陽介】

 ▼藤浪の1試合7失点は、今季5月8日広島戦(甲子園=自責点は2)と並び自己ワースト。7自責点はプロ初となった。1試合7四死球も、14年4月22日中日戦(ナゴヤドーム)の6を超えてプロ最多。これで5月14日ヤクルト戦(神宮)から続けてきた連勝は6で止まった。また、巨人戦は通算2勝6敗。東京ドームに限れば、プロ初の巨人戦となった13年8月4日に勝ったのを最後に、その後5戦5敗だ。