こりゃ痛快、G斬り20勝! 阪神能見篤史投手(36)が3四球と苦しみながらも6回6安打1失点に抑え、巨人戦通算20勝目を挙げた。伝統の一戦で白星を積み重ね、球団では渡辺省三に並ぶ5位。藤浪と並ぶチームトップの7勝目から左腕エースの巻き返しが始まる。

 阪神能見が雨中の投球で節目の白星をマークした。今季3度目の巨人戦マウンドに立つと6回95球1失点の粘投。チームトップタイとなる今季7勝目は巨人戦通算20勝の記念星だ。

 「そんなによくなかったけど。変化球でストライクを取りたいところが取れなかった。でもチェンジアップで緩急を付けられたのはよかった。よく守ってくれたし、リリーフもよく投げてくれた。最低限の仕事はできたと思います」

 立ち上がりは上々だった。3回2死まで8人で完璧に料理。しかし9番ポレダに内野安打を許すと、1番立岡にこの試合初めての四球を与え、リズムを乱した。4回も先頭の坂本を歩かせるなど1死一、二塁。この危機は阿部をスライダーで二ゴロ併殺に切ってしのいだ。5回は下位に連打を許し、井端に適時打を浴びた。だが3番坂本をチェンジアップで三振に切り、なんとか6回1失点。

 「セットポジションに入ってバランスを崩していたな。それ以外はよかったけどね」。中西投手コーチはそう分析した。

 巨人戦20勝は、星野阪神時代のエース左腕・井川(現オリックス)を抜き、渡辺省三に並ぶ球団歴代5位となった。上には村山実、江夏豊、小山正明、そして山本和行とレジェンドの4人がいるだけだ。

 「まあ長く投げていればね…」。20勝の話題にはひと言だけ発して、笑った能見に和田監督は「これからも対戦はあるからね」と期待した。混セが続くペナントレース、先発4本柱での最年長左腕が本来の力を出せば、チームは抜け出せるはずだ。【編集委員・高原寿夫】

 ▼能見が巨人戦通算20勝目を挙げた。通算成績は20勝16敗で勝率5割5分6厘。阪神で巨人戦20勝以上は2リーグ分立後6人目、1リーグ含めると8人目。2リーグ分立後の勝ち越しは能見だけ(ほかに、1リーグ時代から2リーグ時代通算26勝22敗の梶岡忠義がいる)。巨人戦で20勝以上している中で勝率の高い投手は(1)野村弘樹(横浜=25勝17敗)5割9分5厘(2)今中慎二(中日=25勝20敗)能見5割5分6厘(4)川崎憲次郎(中日=29勝24敗)5割4分7厘。能見は、今中に並び2番目に勝率が高い。